検索窓
今日:4 hit、昨日:14 hit、合計:130,462 hit

20 ページ20









あの後、洗い上がった洋服を着て



ルームサービスを食べて



日付が変わる頃、ソファに並んで腰掛けた。















「...スーツ、窮屈じゃありません?」



「バスローブだと緊張するだろ?」



「よくご存知で...」



「仕事柄、スーツのまま一晩を過ごすようなことは少なくないからな。

今はベルトもネクタイも外してるし、むしろ楽なくらいだ」







二つ、ボタンを開けたワイシャツの裾を外に出したまま



飲みかけのグラスを持つ彼。



夜景を映す彼の瞳が...吸い込まれそうなほど輝いている。







「ふ......、見すぎ」



「え、あ............お、おいしいですか?」







あからさますぎる誤魔化しに



んー...って少しの思案顔を見せた降谷さんは



グラスをくいっと傾けて



中に残っていたシャンパンを一気に飲み干した。



そのまま私の項を引き寄せて、唇が重なる。







「ん...!?」







間髪入れずに滑り込んだ舌が



私の舌先を掻き混ぜるように絡んで



ふわりと、私の知らない香りが鼻を掠める。



角度を変えた唇が擦れ合う未知の感覚に



ぞくぞくって全身の力が抜けるのがわかったら



唇はすぐに離れて、降谷さんに預けかけた身体を起こす。







「どうだ、香りくらいは楽しめたんじゃないか?」



「そ、んなの...わかるわけないでしょっ」



「それは残念。今のが最後の一杯だ」















いつの間に切り替わったんだろう。



さっきまと違う...甘い空気に包まれた彼。



抗う術を知らない私は、いとも簡単に飲み込まれて



アルコールが回ったのかと思うくらい全身が熱い。







「...もう一回?」



「えっ...だって今のが最後じゃ、」



「キス」







今さっき知ったばかりの、大人の味を思い出す。



項に添えられたたままの手が



はい、おしまいって離れそうになる前に...答えは出た。























「...嫌じゃ、なかった」



「.........じゃあやっぱり、もう一回くらいしておくか」







私を見つめるブルースターが



ふっと唇に視線を落としたら



どちらからともなく重なったそれ。















そう...このまま消えてしまえばいい。



六千七百マイルの距離も、離れ離れの時間も。



決められた未来すら...こうして混ざり合って。



いつの間にか、全部溶けてしまえばいいんだ。



21.あなたを愛します→←19



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (225 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
547人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

名無し98724号(プロフ) - 本当にキュンときました…素敵な小説すぎて一気読みしました。他のお話もですが、書き方がとってもお上手で尊敬しております!少しお聞きしたいのですが、BTという小説を読まれたことはございますか…?(急に失礼ですよね、すみません)素敵なお話ありがとうございました! (2020年3月29日 3時) (レス) id: f858c9eb21 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - さちさん» さちさん、ありがとうございます!新作も引き続きよろしくお願いします! (2019年1月31日 11時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
さち - 初めから最後まで一気に読んでしまいました。素敵でした。新作も楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年1月31日 9時) (レス) id: ae1bab64f5 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 深月さん» 深月さん、ありがとうございます!私自身、無事に完結してホッとしています笑 (2019年1月28日 16時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - すごく素敵なお話でした…!大好きです! (2019年1月26日 13時) (レス) id: a93ea5789b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ももこ | 作成日時:2018年12月27日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。