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「ふ、る...っ」
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頬が、身体が熱くて...心臓は破裂しそうで。
これが何のどきどきかもわからないまま
目尻に滲んだ涙が零れる寸前で、すっと指が引き抜かれた。
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「すまない。少しからかいすぎた」
「......へ」
「シャワー、浴びておいで」
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眉を下げてふっと笑った降谷さんの
出たら食事にしようっていう言葉に必死で頷いて
バスルームに駆け込んだ。
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「...心臓が壊れる」
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どうにかなりそうなほどの緊張から解放されて
壁沿いにずるずると座り込んで息をついた。
なのに...離れていく熱がどうしようもなく恋しくて。
バランスを失った自分の身体を宥めるように
ワンピースの裾を握り締めた。
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シャワーから出たら、バスローブ姿の男女が二人。
傍から見たら何かあるか何かあったか、って感じなのに
降谷さんはそうさせない雰囲気を纏っていた。
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「おかえり。ほら、水」
「うん」
「食事はルームサービスでいいか?」
「うん」
「ならよかった、実は頼んだ後なんだ」
「ありがとう」
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優しいけど、そこになんとなく距離を感じたのは
たぶん...喫茶店で笑う彼と同じ顔だったから。
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「降谷さん」
「うん?」
「私が子どもだから?」
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点々と埋められた小さなフットライトが
私を誘うようにふわりと光る。
呟きながらダイニングテーブルに近付いたら
むせ返るようなカサブランカの香り。
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「...それは違う。だけど怖がらせたいわけでもないんだ」
「私は...降谷さんのしたいようにしてほしい」
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怖くないって言ったらウソになる。
だけど...降谷さんじゃなきゃもっと怖いんだよ。
彼が愛だと言うものは全て、ちゃんと受け止めたいから。
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「してるさ」
「っ、でもさっき」
「大切にしたい」
「...あ、」
「自分の想いをぶつけることだけが愛じゃない」
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柔らかな、でもはっきりとした声で言い切った彼は
テーブルの横に置かれたクーラースタンドから
シャンパンのボトルを引き上げた。
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名無し98724号(プロフ) - 本当にキュンときました…素敵な小説すぎて一気読みしました。他のお話もですが、書き方がとってもお上手で尊敬しております!少しお聞きしたいのですが、BTという小説を読まれたことはございますか…?(急に失礼ですよね、すみません)素敵なお話ありがとうございました! (2020年3月29日 3時) (レス) id: f858c9eb21 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - さちさん» さちさん、ありがとうございます!新作も引き続きよろしくお願いします! (2019年1月31日 11時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
さち - 初めから最後まで一気に読んでしまいました。素敵でした。新作も楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年1月31日 9時) (レス) id: ae1bab64f5 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 深月さん» 深月さん、ありがとうございます!私自身、無事に完結してホッとしています笑 (2019年1月28日 16時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - すごく素敵なお話でした…!大好きです! (2019年1月26日 13時) (レス) id: a93ea5789b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2018年12月27日 15時