17．高校三年生、逢瀬。その2。 ページ17
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リビングのガラス窓いっぱいに広がる
マンハッタンの百万ドルの夜景。
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『シャワーを浴びてくる』
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降谷さんがバスルームへ消えたら
豪華な部屋が、一瞬にして静まり返る。
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《こっちに来ていた知り合いが訪ねてきて泊まることになった》
当たらずといえども遠からず、みたいなウソをついて。
ホテルの場所だけ教えて...私は帰らない選択をした。
警察官失格だなと自嘲する彼は
私のせいにすることもしなければ
それは違う、って否定させることもしなかった。
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「...私が、帰りたくなかったんだよ...」
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バスルームのドアを見つめながら一人で呟いたら。
怖くなって、膝におでこをくっつけて縮こまる。
明日になれば、私達の距離はまた六千七百マイルに戻る。
時計の針が進むごとに心細くなっていく気持ちを
ぎゅっと胸に閉じ込めて。
膝におでこを擦り付けたまま、ドアの開く音がするを待つ。
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待ち焦がれた音に、ばっと顔を上げたら。
開いたドアから出てきたのは。
バスタオルを頭に被せて、濡れた髪を片手で拭く
真っ白なバスローブを羽織った降谷さん。
色気の暴力みたいなその姿に
冷たくなってた心臓が、どくんって騒ぎ出す。
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「はは、心臓の音が聞こえてきそうだ」
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私の心を読んだ降谷さんが、小さく笑って
ダイニングテーブルのフルーツに手を伸ばした。
クラッシュアイスの上に盛られたパインを一つ口に入れて
甘いなって呟く仕草すら色っぽくて、ぼーっと見つめる。
もう一つパインを摘まんだ彼が、ゆっくりこっちに来たら
ふわっと甘い、ボディソープの匂い。
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「...食うか？」
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囁いた降谷さんが
え、って開きかけた私の唇にパインを押し入れて
口いっぱいに広がる、甘酸っぱい果汁。
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「んっ」
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甘ったるい香りが鼻に抜けて
指を残したまま、無言で私を見下ろす彼が
指先で、私の舌をなぞる。
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「...甘い？」
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くちゅって掻き混ぜるみたいにパインを動かす彼は
薄く口元を歪ませて私を見つめる瞳が怖いほど色っぽい。
そのブルースターに縛られたまま
喉に流れ落ちる甘い液体を、ごくんって飲み込んだ。
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名無し98724号(プロフ) - 本当にキュンときました…素敵な小説すぎて一気読みしました。他のお話もですが、書き方がとってもお上手で尊敬しております!少しお聞きしたいのですが、BTという小説を読まれたことはございますか…?(急に失礼ですよね、すみません)素敵なお話ありがとうございました！ (2020年3月29日 3時) (
レス) id: f858c9eb21 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - さちさん» さちさん、ありがとうございます！新作も引き続きよろしくお願いします！ (2019年1月31日 11時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
さち - 初めから最後まで一気に読んでしまいました。素敵でした。新作も楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年1月31日 9時) (レス) id: ae1bab64f5 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 深月さん» 深月さん、ありがとうございます！私自身、無事に完結してホッとしています笑 (2019年1月28日 16時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
深月(プロフ) - すごく素敵なお話でした…！大好きです！ (2019年1月26日 13時) (レス) id: a93ea5789b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももこ
| 作成日時：2018年12月27日 15時
