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「だけどそれじゃ、桜木の秘書だってシロとは言えない」
「私もそう思ってた......本当にソフトが仕込まれていた媒体を突き止めるまではね。
まさかと思って調べたらビンゴ、秘書のスマホじゃなくて資料室のパソコンに仕込まれてたわ」
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じゃああれは演技かと肩を竦めている。
風見警部補との会話のことだろう。
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「盗聴アプリの存在も気づいてた、その上でこのスマホであんたを探る素振りを見せたの。
証拠もなければ電話もしてない、全部あんたをここに誘導するためのフェイク。
こんな時間に忍び込んでそんな画面を開いている映像があれば、上の人間も動くでしょうね」
「.........まんまと、騙されたなぁ」
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沢村はこの危機的状況を楽しんでいるように見える。
パチ、パチ......乾いた拍手が部屋に響く。
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「素晴らしい頭脳だ。消してしまうのが惜しいくらいにね」
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拍手を止めた手が、スーツの内側に素早く差し込まれた。
すかさず私もウエストに手を回し応じれば
同じタイミングで引き抜かれた手が、互いに向けられる。
沢村は片手で。私は両手で。
その手が構えるそれは、カチャリと音を立てた。
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「ははは...君に私が撃てるとは思えないな」
「...私がパソコンしか触ってないと思ってるの?」
「おや、違うのかい?」
「仕込まれてるに決まってるでしょ」
「...それでも私が勝るだろうね」
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久しぶりに感じるリボルバーの重みに感覚を研ぎ澄ます。
どちらの指も...既に、拳銃の引き金に掛けられていた。
そのまま、互いがゆっくりと撃鉄を起こす。
瞬きすら惜しいほどの緊迫。
先に力を抜いたのは、私だった。
突然、ふっと笑った私に沢村が僅かに動揺を見せる。
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「じゃあ、あんたに勝る人に任せようかな」
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『このこと、アイツに伝えて欲しいの』
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あの時、声を拾われないように手渡したメモ。
私より遥かに頭の切れる男だから
もう真相にも辿り着いているのだろう。
だからこそ、日時と場所を記しただけのそれを見て
こうしてここに来た。
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「動くな」
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カチャ...という微かな金属音。
私でも、沢村でもない。
沢村の背後を取った...降谷が構えたものだった。
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ももこ(プロフ) - やぬっちゃんさん» いえ、こちらこそわかりにくくてすみませんでした...引き続きご覧いただけるとうれしいです! (2018年10月9日 10時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
やぬっちゃん(プロフ) - ももこさん» そうだったんですね。すみません (2018年10月6日 7時) (レス) id: b3f470051e (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - やぬっちゃんさん» やぬっちゃんさん、ご指摘ありがとうございます!降谷さんの過去は不明ですが、"俺"は原作で一度、映画やスピンオフではまだ不使用。他の小説も同様ですが、私の小説では降谷零≒俺のもと、不意に出るような使い方をしておりますのでご理解いただければ幸いです! (2018年10月5日 10時) (レス) id: 12dd65b537 (このIDを非表示/違反報告)
やぬっちゃん(プロフ) - すみません、降谷さん、安室さんの時の一人称は僕ですが降谷の時は俺です (2018年10月4日 18時) (レス) id: b3f470051e (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 明里香さん» 明里香さん、ご指摘ありがとうございます!大変失礼いたしました、修正済みですので引き続きお楽しみいただけたらと思います! (2018年9月20日 23時) (レス) id: d8ab7f7f28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2018年9月20日 11時