26.アフィニティ・ラブ ページ27
・
・
室内から見えるはずの海は、暗くてよくわからない。
きっと朝になれば綺麗な青が広がっているのだろう。
彼はカーテンを閉めると
窓に背を向けて、目の前のベッドに腰掛けた。
彼を見下ろすようにして立っている私を
熱を孕んだサニー・シー・ブルーの瞳が見つめる。
・
「......シャワー、浴びないと」
「いいよ」
「でも、」
「もう待てない」
・
強く手を引っ張られて、彼の足の間に片膝を突いた。
浴衣の裾が少し上にずれて
まだ床に残っている方の足首が空気に触れる。
・
「花火が終わったらちゃんと聞かせろと言ったのは君だ」
・
子どもみたいに駄々を捏ねたと思ったら
その眼差しはすぐに、色香を纏ったものになった。
私の頬に右手を添えた彼が、親指で私の唇をなぞる。
・
「...くすぐったいわ」
「......くすぐったいだけか?」
・
彼はそう言って笑うと
身じろぎをした私を楽しそうに見上げて
そのまま...下から掬い上げるように唇を塞いだ。
・
・
・
「...ん、」
・
・
・
次第に深くなっていく口付けは
それでも、息つく間もないようなものではなくて
優しく...溶けるように、甘い。
ついに彼に体重を預けた頃、唇は離れて
いたずらっ子みたいに笑う彼は
呼吸の一つも乱れていない。
・
「伝わった?」
「...キス、しただけじゃない」
「だけど...伝わっただろ?」
「足りないわね」
・
きょとんと目を丸くした後、
はは、と小さく笑った彼が私の腰に手を回す。
軽い口付けを一つしたら、帯に手をかける。
・
「あ、」
「何?」
「浴衣、似合ってる。脱がすのがもったいないくらい」
「...今言うかしら」
・
そのまま帯を解こうとした降谷君に
今度は私が声を上げる。
・
「あ」
「うん?」
「私、高校生だけどいいの?」
「......今言うかな」
・
彼は考えないようにしていたらしく
眉を寄せて難しい顔をした。
けれどそれは一瞬のことだった。
・
「合意の上だ。問題ない」
「まぁ、そうね」
「それに...本当は三十七歳かもしれないし?」
「何を言ってるのかしらね?」
・
お互いが挑戦的な視線を交えたら
今度こそ、帯がしゅるりと解かれた。
夜はまだ...これから。
・
843人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
どっきりとんとん(プロフ) - 何年かぶりに拝見しました。こちらのサイトを狂ったように漁っていた日々を思い出して何とも言えない気持ちになり、号泣してしまいました。思春期だった私を支えてくれた素敵な作品をありがとうございます。きっとまた読み返すと思います。 (2月6日 9時) (レス) @page37 id: fe5f4d4ce0 (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 感動しました!泣きました!無事に消えなくて良かったです (2023年1月4日 9時) (レス) @page26 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
塩瀬Fe(プロフ) - 作品のご完結からかなり時間が空いてしまいましたが…こんなに素晴らしい作品に出逢えて本当に嬉しいです。読んでいて自然と涙が出てきました…表現の仕方が刺さりました。これからも頑張って下さい。応援しています…! (2022年6月13日 17時) (レス) @page38 id: 9093843c29 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 1話1話のお話の満足度が高すぎてあれ??まだこんだけしか読んでない?って毎回びっくりします笑笑 (2022年3月28日 21時) (レス) @page16 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - とても綺麗な作品でした!説明が下手ですが、不思議な、そして穏やかな気分になれました。本当に素晴らしい作品でした、書いてくださりありがとうございました。 (2021年11月23日 8時) (レス) @page38 id: b375adba0d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ももこ | 作成日時:2018年8月10日 14時