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18 ※Side 零※ ページ18









最初から、疑ってなんかいなかった。



何か理由があるんだろうと頭ではわかっていた。



わかっていたのに。







明かりの点いていない部屋に、心臓は音を立てて



家の前から聞こえたエンジン音に慌てて外に飛び出た。



彼女の笑顔の先は、よりによってあの男で。



腹の底から黒いものが湧き上がるのを感じた。







極めつけは、その泣き腫らした目だった。



あの男が彼女に危害を加えないことくらいわかっている。



...それが意味することは、彼女が自ら



内に秘めていたものを吐き出した事実。








みっともない嫉妬だった。



八つ当たりもいいところだ。















『付き合ってもらってる、の間違いでは?』



『彼女の涙の理由...それは、誰より君がわかっている』



『失ってからでは遅いですから』















心配したと一言、伝えるだけでいい。



どうして泣いていたんだと、優しく問えばいい。



安室透のように笑え。バーボンの余裕はどうした。



...彼女の前では、どんな顔も意味を成さなかった。























『私に腹を立てる理由は嫉妬かと聞いているのよ』







曖昧な関係に甘んじていた自分への罰だろうか。



振り払われた腕は、彼女の拒絶を色濃く表していた。



名前を呼ぶことすら許されない。







『御伽噺は...もう、終わりにしましょう』







最低な一言を放ったのは僕の方だというのに



彼女の瞳は、ごめんねと僕に言う。



彼女が出て行く音がやけにリアルで



部屋を見回せば、数少ない彼女の私物が残っていて。



何もかも夢ではなかったのだと壁に背を預けた。



足元で、ハロがじっと僕を見つめている。























こんな時でも、仕事は待ってはくれない。



守るべきもののために、走り続けなくてはいけない。







彼女が合鍵を置いていかなかったことに安堵し



スマートフォンを確認すれば、赤い光は工藤邸で点滅する。



保護されたことに感謝するべきだが、



相手が相手なだけに苛立ちは抑えられない。



だけど、彼女に嫉妬など出来る関係でもない。



あのマスコットに取り付けたGPSさえあれば大丈夫だと



仕事が終わったら偶然を装って会いに行こうと



どこまでも甘ったれな僕は、呑気に考えていた。



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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どっきりとんとん(プロフ) - 何年かぶりに拝見しました。こちらのサイトを狂ったように漁っていた日々を思い出して何とも言えない気持ちになり、号泣してしまいました。思春期だった私を支えてくれた素敵な作品をありがとうございます。きっとまた読み返すと思います。 (2月6日 9時) (レス) @page37 id: fe5f4d4ce0 (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 感動しました!泣きました!無事に消えなくて良かったです (2023年1月4日 9時) (レス) @page26 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
塩瀬Fe(プロフ) - 作品のご完結からかなり時間が空いてしまいましたが…こんなに素晴らしい作品に出逢えて本当に嬉しいです。読んでいて自然と涙が出てきました…表現の仕方が刺さりました。これからも頑張って下さい。応援しています…! (2022年6月13日 17時) (レス) @page38 id: 9093843c29 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 1話1話のお話の満足度が高すぎてあれ??まだこんだけしか読んでない?って毎回びっくりします笑笑 (2022年3月28日 21時) (レス) @page16 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とても綺麗な作品でした!説明が下手ですが、不思議な、そして穏やかな気分になれました。本当に素晴らしい作品でした、書いてくださりありがとうございました。 (2021年11月23日 8時) (レス) @page38 id: b375adba0d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももこ | 作成日時:2018年8月10日 14時

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