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沖矢さんが立ち去った後も



私達はしばらく、その場に立ち尽くしていた。























しばらくして、ばちりと視線がぶつかる。



眉間に皺が寄った顔は何度も見たことがあるのに



それは初めて見る彼の怒りだった。








「来い」







先に動いたのは...降谷君。



ぎり...と、加減されないその力に



掴まれた手首はひどく痛んだ。







「痛、」







私の声を無視して部屋に入った彼は



そのまま私を壁際に追い込んだ。



彼越しに、ハロが怯えているのが見える。







「降、」



「どうして僕じゃないんだ」



「何言って...」



「よりによってどうしてアイツの前で泣くんだ」



「それはっ」



「僕の前では...泣きそうな顔を隠そうとするくせに」







彼のその言葉を聴いた瞬間、



私の中に...憤りにも似た感情が芽生えた。



それは八つ当たりのようなものだったけれど。



堪え続けた不安や焦りは、怒りに形を変えて



私の中から溢れ出す。







「......気づいていたのね」



「質問に答」



「君のそれは...嫉妬?」



「は、」



「私に腹を立てる理由は嫉妬かと聞いているのよ」



「...話をすり替えるな」



「すり替えてなんかないわ!!」







大きな声を出した私に、彼がわかりやすく戸惑った。



掴まれていた手首を思い切り振り解く。







「私が君に伝えてきた想いは...まるで伝わってなかったのね」



「...どうしてそうなるんだ...!」



「だってそうでしょう、だから私があの人に心を許して泣きついたと思ってるのよね」







思えば、彼とこんな風に感情をぶつけ合ったことはなくて。



どちらかが受け止めていたそれらは



お互いの...逃げ道だったのかもしれない。







「君が敵意を抱いている相手の誘いに乗った私が浅はかだったと思ってるわ。

だけど、どうして私が君を裏切ったような言い方をされなきゃいけないの?

じゃあ君の前で泣けばよかった?そうすれば君は逃げずに受け止めてくれた?

思わせぶりな事ばかり言って肝心な部分をはぐらかしてばかりの君に、それができるの?」



「Aさ、」



「それは誰を呼んでいるのよ!」







再び伸ばされた腕が私に触れる前に振り払う。



今だけは、この感情だけは絆されたくはなかった。















「君がその感情を向けているのは.........、本当に私なの...?」



15→←13.デイドリーム



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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どっきりとんとん(プロフ) - 何年かぶりに拝見しました。こちらのサイトを狂ったように漁っていた日々を思い出して何とも言えない気持ちになり、号泣してしまいました。思春期だった私を支えてくれた素敵な作品をありがとうございます。きっとまた読み返すと思います。 (2月6日 9時) (レス) @page37 id: fe5f4d4ce0 (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 感動しました!泣きました!無事に消えなくて良かったです (2023年1月4日 9時) (レス) @page26 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
塩瀬Fe(プロフ) - 作品のご完結からかなり時間が空いてしまいましたが…こんなに素晴らしい作品に出逢えて本当に嬉しいです。読んでいて自然と涙が出てきました…表現の仕方が刺さりました。これからも頑張って下さい。応援しています…! (2022年6月13日 17時) (レス) @page38 id: 9093843c29 (このIDを非表示/違反報告)
sou(プロフ) - 1話1話のお話の満足度が高すぎてあれ??まだこんだけしか読んでない?って毎回びっくりします笑笑 (2022年3月28日 21時) (レス) @page16 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とても綺麗な作品でした!説明が下手ですが、不思議な、そして穏やかな気分になれました。本当に素晴らしい作品でした、書いてくださりありがとうございました。 (2021年11月23日 8時) (レス) @page38 id: b375adba0d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ももこ | 作成日時:2018年8月10日 14時

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