43.銀行強盗現行犯3 ページ8
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「どうして一人目を伸した時点で連絡をしなかった」
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戻った私が報告を終えて最初に言われたのがそれ。
呆れたように眉間を揉む風見さんは
呆れてるんじゃなくて、怒ってる。
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「拳銃を持っていたので二対一だと分が悪いと思いました」
「確かに通話中は注意も散漫になる、残りが一人なら多少は安心だな」
「はい」
「つまりお前は、最初から全部、一人で片付けるつもりだったというわけだな?」
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その言葉に首を傾げる。
だって私は警察官で、守る側の人間だ。
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「お前が最善だと思う手段が、お前にとって本当に最善か考えるんだ。
一人目の時点ですぐに連絡を入れていれば、山本達だって加勢できた」
「でもあの程度なら私一人でっ」
「その慢心が命を落とすことだってあるんだ!!!」
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部屋に響く怒号に身体を震わせる。
わかりやすく怯えた私に
我に返った風見さんがすまないと一言、謝罪する。
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「お前の行動が自己犠牲じゃないことはわかっている、だからこそ恐れているんだ。
自分ならやれると、自分がやらなければと、その力を過信して誰にも頼らなくなってしまうことを」
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そこまで聞いて、ようやく風見さんの言葉を理解した。
降谷さんもそうなのかと聞けば
私がここに来る前の話を教えてくれた。
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「例の組織の壊滅にあたって、その被害は膨大なものだった。
最後は、倒壊する建物から各々が脱出するのに精一杯な状態...そんな有様だ」
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もちろん降谷さんも潜入中の身だったため
前線で攻防を繰り広げていて
風見さんは当然、降谷さんの無事を確認した。
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「その三十分も後だったよ、降谷さんがまだ中に残っていると知ったのは」
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小学生を助けるためにFBIと残った、風見さんはそう続ける。
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「できてしまう人間ほど、頼るということをせずに前に前に進んで行ってしまう。
だけど知っていて欲しい」
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風見さんの視線は私に向けられているけれど
これは、私だけに向けられた言葉じゃない。
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「俺達は、この国と同じだけ、お前のことを大切に思っているということを」
「っ、......はい...!」
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また一つ、守りたいものが増えた瞬間だった。
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未桜 - 本当大好きですこれドタイプです……。テーマ一本釣りされて参りました。ストーリーも自然だし、キャラクターの魅力がとても引き出されていました! トリップした事に現実味のある主人公へかなり感情移入してしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2021年12月22日 0時) (レス) @page36 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - 最っ高です!!!大好きな作品の1つになりました!これからも頑張ってくださいね(^^♪応援してます! (2020年6月8日 15時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最高… (2019年12月14日 17時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
神と名乗る凡人 - 最高ですね!これで読むの2回目のなるんですが何回読んでも感動します。上から出申し訳ないんですが、書き方も本当にプロで出せるような文章ですごく引き込まれました。これからも頑張ってください!応援してます。ありがとうございました!! (2019年8月31日 2時) (レス) id: 5e8845cf1b (このIDを非表示/違反報告)
華蓮(プロフ) - 感動しました!!降谷零という人物が更に好きになりました!!話を読んでいて、表現の仕方?がすごく好きです、読んでいて面白かったし、キュンキュンしました!!これからも頑張って下さい!! (2019年4月30日 1時) (レス) id: 28b0b44997 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2019年3月8日 16時