38.揺れる警察庁 1200万人の容疑者14 ページ3
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上着の下から顔を出した私が最初に目にしたのは
綺麗なスカイブルーだった。
子どもにそうするみたいに、しゃがんで目線を合わせている。
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「かっ、風見さんは!?」
「俺と入れ違いで仕事に戻った」
「い、いつからそこに...」
「『あの背中が』から」
「すっごい序盤!!」
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マジそういうとこだぞ風見祐也。
...あれ、でもじゃあ、私の頭を撫でていたのは。
そこまで考えて、ぼっと火が付いたみたいに顔が熱くなる。
この、ただイケ男が...と心の中で悪態すらついた。
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「...赤くなったり青くなったり忙しいな」
「誰かさんが無益なハニトラを仕掛けてくるもんでね!」
「それは聞き捨てならないな。俺はもうハニートラップはとっくに止めてる」
「へ?止めてる?」
「あの組織が俺の最後の潜入捜査だったらからな、当然の流れだろ」
「ふーん......そうだったんですね...」
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あれ、どうしてほっとしてるんだろう。
"ほっ"じゃないだろうよ、A。
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「あと二分もすれば救急隊員も来る、もう少し大人しくしてろよ」
「...あの。......すみませんでした」
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急に謝った私に驚いたように目を見開いている。
だけどすぐにその意味するところを理解したらしく
この上司にしては珍しく言葉を選んでいるようだった。
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「あの爆発のことを言ってるなら、あれは俺が下した判断だ、気にすることはない。
建物一つと一人の命、どちらが大切かなんて考えるまでもないからな。
そもそも、取り逃がしたりしなければお前が傷を負うことも解体が邪魔されることもなかった」
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こちらのミスだ、すまなかった。
私に反論の余地を与えない主張は、謝罪を伴った。
だけど、その言葉からは確かに優しさが伝わる。
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「その...ありがとうございます」
「さっきも言ったがまずは自分を大切にしろ......お前は少し、自分を粗末に扱う節がある。
さっきだって、撃たれる覚悟で突っ込んでいくつもりだっただろ」
「う...」
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それは、降谷零に言われても全く説得力がない気がしたけど
だけど私の知らない名探偵コナンを過ごしてきたからなのか
そこに強い意志があることがなんとなくわかった。
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未桜 - 本当大好きですこれドタイプです……。テーマ一本釣りされて参りました。ストーリーも自然だし、キャラクターの魅力がとても引き出されていました! トリップした事に現実味のある主人公へかなり感情移入してしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2021年12月22日 0時) (レス) @page36 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - 最っ高です!!!大好きな作品の1つになりました!これからも頑張ってくださいね(^^♪応援してます! (2020年6月8日 15時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最高… (2019年12月14日 17時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
神と名乗る凡人 - 最高ですね!これで読むの2回目のなるんですが何回読んでも感動します。上から出申し訳ないんですが、書き方も本当にプロで出せるような文章ですごく引き込まれました。これからも頑張ってください!応援してます。ありがとうございました!! (2019年8月31日 2時) (レス) id: 5e8845cf1b (このIDを非表示/違反報告)
華蓮(プロフ) - 感動しました!!降谷零という人物が更に好きになりました!!話を読んでいて、表現の仕方?がすごく好きです、読んでいて面白かったし、キュンキュンしました!!これからも頑張って下さい!! (2019年4月30日 1時) (レス) id: 28b0b44997 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2019年3月8日 16時