51.過去を繋ぐ雨音3 ページ16
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「これ"も"?」
「...一部でウワサになってるらしいですよ.......私達が"そういう"関係だって」
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困るでしょ、指輪、渡してたじゃないですか。
そう言いたくても...臆病な私がそれを声にすることを恐れる。
それに、降谷さんはそういうのに慣れてるかもしれないけど
職場の人間はさすがに仕事にも影響があるかもしれない。
迷惑をかけるのだけは嫌だ。
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「言わせておけ」
「、そんなの」
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梓ちゃんがかわいそう、そう言おうとしたけど
おでこの上に移された降谷さんの手の冷たさに
ふ...と瞼が重くなるのを感じる。
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「冷たくて、気持ちいー......」
「...困るのか?」
「え?いや、冷えピタみたいで...」
「そっちじゃない。さっきの話」
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閉じかけていた瞼を持ち上げれば
私を見つめるスカイブルーがゆらゆらと揺れる。
違うな、私の視界が揺れているせいだ。
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「俺と"そういう"関係だと思われたら、お前は困るのか」
「......私は...降谷さんの心配をしてるんですよ」
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頭を撫でる手を振り払おうとしたけど
ただ、降谷さんの手首を掴んだだけみたいになってしまう。
代わりに、反対の腕で顔を隠して壁側に顔を向けた。
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「私ね......幸せになりたいとか、思ってないです」
「A、」
「だけど、降谷さんには...、...幸せになってもらいたい...」
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それは、本心だった。
だって...そうしたら、私もちゃんと幸せだから。
そう呟いたつもりだったけど...届いているだろうか。
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「............それは、」
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降谷さんがなんて言ったのかはわからなかった。
ついに意識が遠のいた私の耳に、最後に聞こえたのは
A、と私を呼ぶあの美しいテノール。
まるで愛しい人に呼びかけたような甘い囁きは
サンタクロースからのプレゼントかもしれないと思った。
もう...雨音は聞こえない。
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クリスマスを平和に迎えるなんて
コナン界とはいえ終わってるからなんだろうなぁ。
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次の日、目を覚ました私は
まず...呑気にもそんなことを思うのだった。
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未桜 - 本当大好きですこれドタイプです……。テーマ一本釣りされて参りました。ストーリーも自然だし、キャラクターの魅力がとても引き出されていました! トリップした事に現実味のある主人公へかなり感情移入してしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2021年12月22日 0時) (レス) @page36 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - 最っ高です!!!大好きな作品の1つになりました!これからも頑張ってくださいね(^^♪応援してます! (2020年6月8日 15時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最高… (2019年12月14日 17時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
神と名乗る凡人 - 最高ですね!これで読むの2回目のなるんですが何回読んでも感動します。上から出申し訳ないんですが、書き方も本当にプロで出せるような文章ですごく引き込まれました。これからも頑張ってください!応援してます。ありがとうございました!! (2019年8月31日 2時) (レス) id: 5e8845cf1b (このIDを非表示/違反報告)
華蓮(プロフ) - 感動しました!!降谷零という人物が更に好きになりました!!話を読んでいて、表現の仕方?がすごく好きです、読んでいて面白かったし、キュンキュンしました!!これからも頑張って下さい!! (2019年4月30日 1時) (レス) id: 28b0b44997 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2019年3月8日 16時