67.公安の刑事恋物語 (告白)2 ページ32
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「A案にすべきです!責任は自分が取ります!」
「お前の首一つで取れる程軽い責任ではないがA案で決行する。責任は全て俺が取る」
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ホワイトボードに向けられていたみんなの視線が
降谷さんの一声でこちらに向けられた。
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「「「降谷さん!!A!!」」」
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犠牲になったことを誇りするんじゃなくて
無事だったことを喜んでくれるこの人達は本当に優しい。
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「もうお身体は...」
「問題ない。それより......」
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降谷さんが戻ったこの一瞬で
集まっていた情報が淀みなく組み立てられていく。
それを見た私もまた、深呼吸をして頭を切り替えるのだ。
恋愛が悪いとは思わないけど。
視線が重なるだけで心臓が跳ねる。
指先が触れただけで息が詰まる。
声が聞こえただけで泣きたくなる。
恋愛は体力も気力も使うのだ。
だからこそ、手を出してはいけないもので
それは隙を生むし、命を脅かす。
それは心に余裕がある者がするべきこと...とも思うから。
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私は退庁したその足で、その場所を訪れた。
なんだかんだ、コーヒーを飲みに来たことはない。
大切な人の、大切な人達を守り抜いたら
降谷さんの隣を走れるようになるだろうか。
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「いらっしゃいませ!」
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花が咲いたような笑顔に、つられて口角が上がる。
梓ちゃんの左の薬指に嵌められた指輪を見て
それが彼女を縛る枷になることが起きないように誓う。
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「えっと、私...安室さんの助手のAと申しますが」
「え、安室さんの?」
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彼女は、下手したら彼の死に際には会えないだろう。
会えるのはきっと全てが終わってから。
もしかしたら、死んだことすら伝えられずに
一生引きずって生きていく可能性もある。
私達の仕事はそういう種類のものだ。
だったら、せめて無事だったことくらいは伝えてあげたい。
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「安心してください。あの人は無事です」
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急に音信不通になって驚いたことだろう。
無事を告げれば、よかったですと安心していた。
それから、また危険な目にあっていたのかと聞かれる。
以前の私なら何も言えず
この場を立ち去るくらいしかしなかっただろう。
でも、私にとって梓ちゃんはある種の恩人だった。
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「降谷さんは、必ずあなたの元に帰りますから」
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未桜 - 本当大好きですこれドタイプです……。テーマ一本釣りされて参りました。ストーリーも自然だし、キャラクターの魅力がとても引き出されていました! トリップした事に現実味のある主人公へかなり感情移入してしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2021年12月22日 0時) (レス) @page36 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - 最っ高です!!!大好きな作品の1つになりました!これからも頑張ってくださいね(^^♪応援してます! (2020年6月8日 15時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最高… (2019年12月14日 17時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
神と名乗る凡人 - 最高ですね!これで読むの2回目のなるんですが何回読んでも感動します。上から出申し訳ないんですが、書き方も本当にプロで出せるような文章ですごく引き込まれました。これからも頑張ってください!応援してます。ありがとうございました!! (2019年8月31日 2時) (レス) id: 5e8845cf1b (このIDを非表示/違反報告)
華蓮(プロフ) - 感動しました!!降谷零という人物が更に好きになりました!!話を読んでいて、表現の仕方?がすごく好きです、読んでいて面白かったし、キュンキュンしました!!これからも頑張って下さい!! (2019年4月30日 1時) (レス) id: 28b0b44997 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2019年3月8日 16時