31.Hello Mr.my yesterday ページ31
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平日の夕暮れ前。
カウンターに座って。ブレンドを頼んで。本を開く。
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最後にもう一度だけ会ってほしいと我儘を言ったあの日。
あれからもう一月ほど経つけれど、まだその時は来ない。
梓さん曰く、探偵のお仕事が山場だとか。
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一瞬、このまま会えない可能性も考えたけれど
数日前...隣町に足を運んだ時に。
グレースーツに身を包んだ彼が、同じスーツ姿の人達に
何やら指示を出しながら裏通りを駆け抜けていく姿を見て
その考えを払拭した。
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そもそも器用な彼のことだから
できない約束はしないだろう。
本当に忙しいのだと思う。
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「...Aさん?」
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声の主は、彼ではなかったけれど。
この少年ともしばらく会っていなかったなと思った。
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「コナン君...ケガしてる」
「友達と遊んでて、転んじゃった」
「...そっか」
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「.........Aさん、つらくないの?」
「え?」
「もう一人、いつ姿を見せるかわからない相手を待ち続けてるヤツがいるんだ。
結構つらいんだよって、言ってた」
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「...彼は何も言わないから」
「...言えなかったんだと思うよ」
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十歳にも満たない子に、こんな表情ができるものなのか。
これは.........誰かを想っている時の顔だ。
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「待っててほしい、なんて背負わせたりするような男とは違って」
「背負わせてもらえるような存在ですらなかっただけだよ...」
「...あの人には、命に代えても守んなきゃなんないものがあるから...」
「.........コナン君は、知ってるんだね」
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そのメガネの奥に隠された何かが、垣間見えた気がした。
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「大丈夫。私が私のために待ってるだけだよ」
「...思われてるね、あの人」
「でしょ?だから彼が何か言っても言わなくても、こうやって待つと思わない?」
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コナン君は少しだけ驚いたような顔をしてから
その後ですぐに、柔らかく笑った。
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「Aさん」
「ん?」
「あの人の正義、守ってあげてね」
「...うん」
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この子の瞳に宿る光の力強さは。
その正義は。その覚悟は。
守りたいと願う誰かのためだろうか。
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「ねぇ、コナン君。君は一体...」
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何者なの?
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ももこ(プロフ) - senaさん» senaさん、応援ありがとうございます!セーラームーンが好きなもので…どうしても書きたかったネタでした笑 (2018年7月29日 23時) (レス) id: e5b9c1d740 (このIDを非表示/違反報告)
sena - タキシード仮面のくだりには笑いました。頑張ってください! (2018年7月29日 12時) (レス) id: 3bf999f9f9 (このIDを非表示/違反報告)
ももこ(プロフ) - 朔夜さん» 朔夜さん…苦労したのでそう言っていただけると嬉しい限りです…!お気に入りの曲と一緒に読んでみてください! (2018年7月24日 23時) (レス) id: e5b9c1d740 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - まさかここまで(op曲ed曲をタイトルに使って話を作れる)とは..... (O_O) (2018年7月24日 19時) (レス) id: ebcd1bc808 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2018年7月9日 15時