雨のち飴 ページ29
次の日は雨が降った
勢いはなく、垂直に、細い雨が降り続けていた
外は霞がかかり土を濡らした匂いが広がる。
Aは傘をさし飴屋に向かった、雨の日なので、人気はあまり無く、順調に足を進ませる事ができる。
A「………………着いた……」
(副長1)「おい、アンタ、」
A「…おはようございます、もう開店の準備を？」
(副長1)「ちげぇよ…………あんたが何時来るかわかんねぇからな、店をなるべく早く開けたんだ」
A「お気遣いありがとうございます」
(副長1)「…………………なぁ、一つ聞きたい事があるんだが……」
(副長1)「……今朝、起きたら家の前に今まで奪われた金が全部、戻ってきてたんだが…………お前さん何か知らないか？」
A「………さぁ、…………………此処の飴が美味しかったんじゃないんですか？」
あの男達は最近よく悪さを働いていた為、王騎軍らが厳重に取り締まろうとしていた所だった、其れをいち早くAが済ませ、今まで稼いでいた金を元の場所に返したのだ
足りない金額は軍で補い、男らにはキツい処罰が与えられた
A「私も此処の飴が好きなので、教えてくれた子供達には感謝してます、」
Aのその言葉に(副長1)は確信した、家の前に置いてあったお金はAらが届けた物、子供達を危険に晒させない為に一晩の内に男達を捕まえたという事も、
(副長1)「…………アンタ……変わった人だな……」
A「よく言われます、」
A「………………………………………私、今隊員を募集してるんですよ、まずは副長を二人程探そうかと思っています。」
A「隊員の人数は全部で百人、」
A「……………………気が向いたら、王騎将軍の城前に飴を置いておいてくださいね？」
この言葉はAの返事を受けて、副長になるならば城前に飴を置けという意味が込められている
A「…………では、私はこれで」
一礼し、Aは去って行こうとする
(副長1)「ちょっと待った、」
(副長1)「アンタ………名前は？」
傘を閉じ、下を向いた、雨に体が濡れ着物の色が少々濃ゆくなる
Aは口にゆっくりと弧を描き、仮面を剥ぎ取った
A「王騎が娘、Aだ、」
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作者名：カンロ飴 | 作成日時：2022年11月21日 20時
