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「 嘘でしょ 」
思わず声に出た。
外は生憎の雨なのに対して私のかばんの中には不思議なことに折りたたみ傘の1本も入ってすらない。
いつも常備してるのになんで？？
夕方には雨だとニュースでもやっていたが、その事を知ったのは学校についてから。なので傘は持ってきて居ない。
昼休み以降の浮かれた私とは反対に今はどん底である。
教室で気が付いて居ればまだ取り返しもついたのかもしれない。
もう下まで降りてきちゃったよなんでここで気付いたんだろう。
走って帰ればわんちゃん？
「 おや、一色くんじゃないか
早く帰らないと雨が酷く .... 嗚呼、もしかして傘を忘れてしまったのかな 」
後ろから聞こえてきた声。
神様これどういう事。
「 そうなんですよ、しかも折りたたみまで忘れてしまったみたいで。走って帰ろうかなー、と。」
流石に恥ずかしいのと良く分からない感情が入り交じったまま、あはは、と笑った。
そういえば先輩、傘持ってないけど仲間？
相合傘フラグじゃないのこれ。雨宿りパターン？
私の思考なんて知らない先輩。
脳内会議が行われているなんて知るわけもないのである。
「 実は、僕も傘を忘れてしまってね 」
あっ、これ仲良く雨宿りじゃん。
確信を持った私は雨止む気配無いですよね〜、一緒に走って帰ります？なんて呑気に冗談半分、話しかけたのだ。
鞄を何やらごそごそと漁る先輩に。
「 それも良いけれど、僕は今良いものを持っていてね。
狭くなってしまうけど入っていくのはどうかな ？ 」
先輩が取り出したのは折りたたみ傘。
「 ..... 良いんですか。
そんなの喜んで入りますよ 」
傘よりも小さいからこそ。
必然と距離も近くなるわけで。
相合傘だけど！！
ハードル高いよ先輩。どういうことなの。
それじゃあどうぞ。なんて傘をさしてくれる先輩に甘えて入れてもらったがもうこれはほぼ触れてると言っても過言では無い肩。
大丈夫かな。
心臓の音まで聞こえてしまうのではないか、なんて杞憂。
ちらっと先輩の方を見上げてみれば少し赤く染った耳
少しは意識されてる？
それとも寒さのせい？
できれば前者であれ。
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作者名：水瀬 | 作成日時：2023年1月22日 10時
