『男主』大好きで大切な『BLEACH』 (ページ10)

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玖話ページ10

部屋を出て次の隊へ向かう。2番隊に行くかと思ったが、どうも2番隊長は任務で居ないらしくまた別の日に隊長自ら来てくれるらしい。
先程もらったお菓子はなんとかなり有名な和菓子屋のものだったらしくヒナが驚いてた。

「後で一緒に食べよっか。あっ、ここが3番隊の執務室だよ！」

1番隊の時と同じようにヒナが中へ声をかけるとすぐに返事が来て中へ通される。不思議なイントネーションだ。京都弁だろうか。

『失礼します』

「君がAくん？あぁ、そんな警戒せんでもええよ。僕は隊長の市丸ギンいいます～。ほら、イヅルも」

「……っぇ、あ、あぁ、はい。僕は吉良イヅル。よろしく。話は聞いてるよ。教育係が雛森君なら安心だ」

「雛森ちゃんええ子やからねぇ。そや、イヅル、お茶入れてきてもろてええかな。」

「分かりました。……逃げないでくださいね」

「逃げへんよ、A君もおるし。ええからはよぉ持ってきて」

吉良副隊長は僕を少しだけ見ると部屋を出ていってしまった。

市丸隊長はもしかしなくとも苦手なタイプかもしれない。何を考えてるかわからない。警戒するなと言われても無理だ。蛇に見つめられているような、嫌な感じがする。その予感は見事的中した

「なぁ、Aくん？実は僕な、昨日から聞きたいことあってん」

『きき、たいことです、か。』

「うん、君が昨日言ってた、

«ここに来るために僕は死んだんじゃない»。

あれって自分で死んだってこと？」

思わず息が詰まる。ゆっくりとこちらへ近づいてくる市丸隊長は僕の目の前で止まった。
血が引いていく感覚。足が縫い付けられたみたいに動けない。逃げ出したい。

「黙るってことはそうなんや。何でなん？親が嫌やった？友達が嫌やった？あ、もしかして失恋とか？」

『か、関係、、ないじゃ、ないです』

絞り出した声は震えていて、なんて情けないのだろう。

「関係あるよ。僕、A君のこと、知りたいんやもん。やから、」

全部、教えて。と耳元で言われた時何とも言えぬ恐怖で思わず突き飛ばす。力も入っていなかったはずなのにおっとっと、なんてふざけた声を上げて後ろへ下がる市丸隊長。

力が抜けて座り込む。恐怖でだろうか。いつの間にか目に溜まっていた涙はボロボロと溢れ出す。なんなんだこの人。人の触れられたくないところを無理矢理触ってくる。

「思った通りや。やっぱり、泣いた顔も可愛ええね、Aくん。」

ヒナ、間違ってる、どこがいい人ばっかりなの