漆話 ページ8
日が昇り始めた頃、寝れはしなかったもののだいぶ疲れの取れた身体を起こし窓を開ける。澄んだ心地いい空気を吸うと少しだけスッキリしたような気がした。
そのままでいたかったがさすがに着替えようとタンスを開いた
−−−−−−−−−−−−−−−
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「Aくん、私、雛森だけど起きてる〜?……って!どうしたの!?」
『ヒ、ヒナぁ、これ、どうやって、きるの…』
着替えようと思った。しかし現代の楽に作られた服に慣れていた僕に、死覇装と呼ばれるこの服の着方がわかるわけがない。情けなさに涙目になっている所へタイミング良くヒナが来てくれて助かった。
一応僕も男だから手伝ってもらう訳にもいかず、反対を向きながら口で説明をしてもらってやっと着ることが出来た。
『ご、ごめんね、ヒナ』
「ううん、初めは分からないよね。でもまさか涙目になってるとは…」
『ち、違う!あれは、えっと、目にまつ毛が…』
「はいはい、そうだねぇ。あ、これ朝ごはん」
バレバレな僕の嘘を流し、頭を撫でてくるヒナに少しむくれながら、普通の友達みたい、と胸が暖かくなる
。
人に触られるなんて嫌悪感しかなかったのに、ヒナは嫌じゃない。単純に同性が苦手なのもあるだろうが。−−女好きに聞こえるがそうでは無い−−
差し出されたおにぎりを食べているとヒナが話し始める。
「本当は今日は、お互いのことを知る日!ってしようと思ってたんだけど、明日私任務で来れなくなっちゃったから、先にこの瀞霊廷の案内と各隊長へ挨拶しに行こっか!」
『各隊長……昨日、あの部屋にいた人達…?』
「そうそう!顔、覚えてる?」
『怖そうな人がたくさん……あ、、でも小さい男の子もいた、あの子も隊長なの?』
「ふふふっ、びっくりしちゃうよね。でも、実力は本物だよ」
楽しそうに笑う彼女は彼と仲がいいのだろうか。それなら悪い人ではないのかもしれない。生前の嫌な記憶はは少しだけ頭の隅へ追いやる。彼女の事は信じたい。
「それじゃあ、早速行こっか!」
『っぅえ、もう?』
「瀞霊廷って広いんだよ〜!早く行かないと日が暮れちゃう!」
『日が暮れるって…まだ日が昇ったばっかりだよ…』
「いいのいいの!」
そう言って僕の手を引っ張るヒナはとても楽しそうで思わず口元が緩んでしまう。笑うのなんて何年振りだろうか。
ふと顔に陰がかかり目線を前に戻すとヒナが僕の頭を撫でていた。
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nana民(プロフ) - 続きが気になりすぎる (2023年3月10日 20時) (レス) @page26 id: 52a3fcc53d (このIDを非表示/違反報告)
アレンシス(プロフ) - めっちゃ可愛いです!続きを恵んでくれませんか? (2022年3月31日 9時) (レス) id: 47ccef0445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨乃色 | 作成日時:2020年5月11日 23時