『男主』大好きで大切な『BLEACH』 (ページ25)

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弐拾肆話ページ25

目の前で小さな口に一生懸命にご飯を運ぶ様子はどこか小動物を連想させ、少なからずその様子に場が和んでいるのを感じた。
浮竹と揃ってその様子を眺めていると、彼は控えめにちらりと視線をこちらへ向けた。

『…あの、京楽隊長、浮竹隊長。…その、あんまり見られるのは…』

彼が自分達の名前を知っていてくれたことに嬉しさを感じ、そのままの気持ちを伝える。直後彼の口から出た3番隊副隊長の下の名前に、ほんの少し、何故か楽しくない気持ちになる。

「だいぶ仲が良くなったみたいだな！俺も浮竹隊長、じゃなくて何かあだ名が……」

「あ、それいいねぇ。隊長、なんて硬っ苦しい呼び方じゃなくていいよ」

眉を下げ困った様な顔をするAに、加虐心が擽られるが嫌われるのは心外なので無理やり押し込める。
猪口に入っている酒を口に入れると、そういえば、と思い出す。

「そういえば、この前雛森ちゃんとAが歩いてるのを見たんだけど、君達友達っていうより姉弟に見えるんだよねぇ」

「私とAくんがですか？ね、じゃあさ"お姉ちゃん"って呼んで！」

姉弟の様だと言われて嬉しそうな雛森ちゃんにお願いをされたAもどこか嬉しそうで、彼もまた姉弟と言われて嬉しいのだろう。意外と表情が顔に出るらしく、コロコロと変わるそれは見ていて飽きない。

その後、要望に応えてあげたAに市丸が乗り、お願いをしたが呆気なく断られる様子には苦笑いをこぼした。

「Aくん、それは……無意識なのかい？」

『……？癖、ですか？』

「あぁ。撫でた後手を離すと－－」

藍染の言う、癖、とは撫でた手を少し離すと、行かないでとでも言うようにすり、と頭を寄せる事だろう。確かに自覚して辞められるのは惜しい。

「Aってば見かけによらず魔性よね～」

先程からの藍染の様子や、あまり他人に興味関心を持たない筈の市丸の態度、その他にも何名か居るがそいつらの様子を見る限り、乱菊ちゃんの言葉には頷く他ない。

そんな事を思っていると咳き込む音。

「ちょっと、A？大丈夫かい？」

咄嗟に声をかければコクコクと頷き水を飲むA。しかし飲み込んだ後、うっすらと赤くなる頬に次第に潤んでくる瞳。もしかしてと手にしているグラスに目を移せば、予想は的中した。

「あらら……A、お酒飲んじゃったんじゃない？」

「あ、ほんとだな。大丈夫か…？」

いや、これは色んな意味で危ないかもしれないね