弐拾参話 ページ24
隊長・副隊長はご飯を食べてる人の顔を見つめる癖でもあるのだろうか。
反対の席から注がれるふたつの目線が気になり目線を上げる。
『…あの、京楽隊長、浮竹隊長。…その、あんまり見られるのは…』
「ん?あぁ、すまない。あまりにも美味しそうに食べるから!」
「僕達の名前知っててくれたの。嬉しいねぇ」
『イヅルに教えて貰って……あっ、えと、吉良副隊長に』
「だいぶ仲が良くなったみたいだな!俺も浮竹隊長、じゃなくて何かあだ名が……」
「あ、それいいねぇ。硬っ苦しい呼び方じゃなくていいよ」
さすがにはい!って言える勇気もないので、はぁ…と曖昧に頷く。
「そういえば、この前雛森ちゃんとAが歩いてるのを見たんだけど、君達友達っていうより姉弟に見えるんだよねぇ」
「え、私とAくんがですか?ね、じゃあさ"お姉ちゃん"って呼んで!」
京楽隊長の言葉が聞こえたのか少し離れた席からヒナが声を上げる。その近くにおもちゃを見つけた子供の様な顔をした乱菊さんを視界から外す。なにかよからぬ事をされそうだ。
『お姉ちゃん……?桃お姉ちゃん…かな、』
「………っ!かっわ……い、」
確かに、ヒナみたいな優しいお姉ちゃんが居たら楽しそうだな、と思わず口元を緩めればギンに抱きつかれる
「えええ、なんやの、今の顔!かわえぇのもええ加減にし。せや、ね、僕もギンお兄ちゃんって呼んで」
『それは嫌』
なんでなん、と文句を言うギンを引き剥がそうとすると案外すんなりと離れていった。いきなり離れていった体温に少し寂しさを感じていると頭に乗る大きな手。
その手の持ち主は藍染隊長だった。ニコニコと笑いながら撫で続ける藍染隊長に戸惑っていると満足したのか離れていく手。しかしまたすぐに撫でられた。
「Aくん、それは……無意識なのかい?」
『……?癖、ですか?』
「あぁ。撫でた後手を離すと−−」
「っあ、藍染隊長!それ言っちゃ駄目です…!」
「吉良副隊長……なぜか聞いてもいいかな?」
「Aがそれ気づいたら、もうしてくれないかもと思って…」
「それは困るね」
「Aってば見かけによらず魔性よね〜」
そう言って笑う藍染隊長達に首を傾げる。何の話をしているんだろうか。乱菊さんの言葉も意味がわからない。
まあいいやと食事を再開すれば飲み込んだご飯が気管に入り噎せる。咄嗟に目の前にあった水を飲めば途端に、喉が焼けるように熱くなった。
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nana民(プロフ) - 続きが気になりすぎる (2023年3月10日 20時) (レス) @page26 id: 52a3fcc53d (このIDを非表示/違反報告)
アレンシス(プロフ) - めっちゃ可愛いです!続きを恵んでくれませんか? (2022年3月31日 9時) (レス) id: 47ccef0445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨乃色 | 作成日時:2020年5月11日 23時