『男主』大好きで大切な『BLEACH』 (ページ16)

今日:9 hit、昨日:2 hit、合計:16,338 hit

拾伍話ページ16

卯ノ花隊長に部屋へ通されると、花太郎は仕事があるので、と席を外した。
部屋へ行くまでに幾つかベッドが並んでいたのでここは救護関係の場所だろうか。

「酷い隈ですね。慣れない環境では無理もないでしょうが…」

『え、あ、すみません。でも、寝れないのは昔からなので…あんまり気にしないでもらって大丈夫です』

「そうですか……ですが寝不足は怪我にも繋がります。仕事に支障をきたす訳にもいきませんから睡眠薬を渡しておきましょうか」

『………ありがとうございます』

「いいえ。これも4番隊の仕事ですから。では、本題に入りましょうか」

卯ノ花隊長によると、ここに呼ばれたのは身体検査の為らしい。身長体重、視力。ほんとに保健室みたいだな。

先に視力を測ったがどちらもC。眼鏡とコンタクトどちらがいいか聞かれたが、一応どちらも作ってもらうようにした。

問題は次だ。体重を測るために服を脱げと言われるが、躊躇する。あまり自分の体、主に腕と太腿は見せられたものでは無い。
どうしようと悩んでいると、はぁとため息が聞こえた。

「無理強いをする訳にはいきませんからね、着たままで大丈夫ですよ。脱ぎたくない理由も、分からないではないので」

ばれてる。優しく笑って言ってくれる卯ノ花隊長にお礼を言い体重計に乗る。ちらっと見えた数字は服を着ているにもかかわらず、最後に測った時よりも落ちていた。卯ノ花隊長が微かに目を見開いたのがわかる。

「……ご飯の量を増やしましょうね。これ以上落ちると少し、危ないですよ。」

『…はい』

少しだけ黒い笑顔が見えて目を逸らす。少食だから無理だとは言えない。無理してでも食べよう。

その後身長も測り、遠回しにチビだと言われ少し凹んでいると名前を呼ばれ卯ノ花隊長を見る。真面目な表情に背筋を正す。

「少し、お話をしましょうか。」

『お話、ですか』

「えぇ。あなたの生前についてです。」

『………っ！』

「無理に聞こうとは思いません。話したくなった時、その時でいいです。」

「貴方の自傷癖。そして不眠。無意識でしょうか、どこか落ち着きがないですね、もしかして……」

声が、幻聴が聞こえているのではないですか。

思わず目を見開く。ずっとそうだった。生きていた時から。ずっと僕を責める声。それは常に聞こえていて夜になると大きさを増す。

この短時間でそこまで分かるなんて。
卯ノ花隊長は、やはり、と何か考え込むように口を閉ざした。