『男主』大好きで大切な『BLEACH』 (ページ14)

今日:5 hit、昨日:2 hit、合計:16,334 hit

拾参話ページ14

ご飯を食べ終えしばらく2人と話をしていたが、長くいるのも邪魔になるだろうと食堂を出てその場で解散になった。2人は部屋まで付き添うと言ってくれたが、さすがにそこまでさせるのは気が引けるので断った。

早足で部屋へ戻る。今日は汗をかいたので早くお風呂に入って流したい。そして寝たい。昨日は寝れなかったが今日は寝れそうだ。

迷うことなく部屋につき、記憶力がいい自分を褒めたいぐらいだが、部屋の前に人がいるのが見え足が止まる。

市丸隊長だ。
昼間はニコニコとしていたが今はなにか考えているのかその表情は影を潜めていた。こちらの方が胡散臭くなくて親しみやすそうだ
月の明かりに照らされる綺麗な銀髪に目を引かれた。

僕の存在に気付いたのかゆっくりこちらを見ると昼間のような笑顔を向けられる。

「やっほ～Aくん。待っとったで」

『………何か、用ですか』

「用ってほどでもないんやけどね。昼間の。謝ろう思って」

『そ、それならもう気にしてないので、大丈夫です』

「嘘。めっちゃ目泳いでるやん」

『じゃあ今許したので、大丈夫です』

「じゃあってなんやの」

そう言ってけたけたと笑う彼が近づいてくるのが分かり、思わず後退る。それでも彼は近づいてきて、背中が壁に当たる。

「……ほんまはね、こんな怖がられると思ってなかったんや。どうやったら雛森ちゃんやイヅルみたいに仲良うなれる？」

『……わから、ないです。その、市丸隊長、部屋に戻りたいので、今日は……』

一刻も早く2人きりを抜け出したかった。目の前にいる彼と壁に挟まれ逃げ場がない。ふと目線を上げ、下に戻す。
昼間はあんなに楽しそうな顔だったのに、そんな迷子のような、苦しそうな顔を向けられても、わからない。

今日は帰ってください、と続けようとしたが彼の言葉に遮られる。

「ギン」

『………へ』

「ギンって呼んでくれたらええよ。」

「…や、でも、隊長を呼び捨ては、さすがに」

「じゃあ帰らへん」

『え、えぇ……』

「雛森ちゃんはあだ名やし、イヅルは呼び捨てやん。隊長の僕ががええって言ってるんやからええの」

なんだこの人。駄々子をこねる小学生か。

『………ギン。こ、これでいいですか……！』

「あと敬語も」

『………！わかった……！ギン、もう、部屋に戻っ…っわ』

言い終わる前に抱きしめられる。突然のことに心臓が飛び跳ねる。

しばらくすると、またね、と手を振り彼は帰っていった。