永生 ページ10
NO side
「っは、思ったより…皆と遊ぶのは、
楽しかったんだよ……くっそ…らしくねぇ…
……なぁ、もうやめるわ
もう、やめるからさ…これからも…っで…
一緒に、笑いてえんだわ…」
浅くなっていく呼吸。
小さくなっていく声。
弱々しくなっていく服の袖を握る力。
「…A、A…？」
「……っん、だよ…いきてるよ…」
ほ、と安堵した顔になり、ふと高野を抱きしめる彼女。
「……なに、いてぇんだけど…」
四肢にはもう力が入っておらず、ぐたりとしていた。
痛みで回らなくなり始めた頭で疑問に考え始めたその時。
彼女は静かに言葉を唱えた。
「…貴方は、私の友達
貴方は、私を救ってくれたひと
貴方は、私の死
貴方は、終わりのない場所にいる
貴方は、私の永生を約束するもの
貴方に、救いをあげよう
貴方にとりまくこの二十の中から一つ選べ
その中の一つは正解
残りの十九は即死の毒だ」
「なっ！？そんなの…ほぼ死…！」
高野は、自らの周りに漂う瓶を見つめた。
次に、ある場所を見て、すぐに確信した。
「……んじゃ、これで」
瓶を蓋を開け、一気に液体を流し込んだ。
「……げほっ、ゔぇっ！？は！？マズ！？」
むせた後、若干キレ気味で瓶を投げた。
どれほど不味かったのだろう。
パリンと割れた音がして破片が散らばる。
その破片や残った瓶は粒子となって消えた。
「……うわ、傷治ってやがる…
どうりで痛くねえと…」
刺された部分を触り、痛みも傷もないことを確認した。
「……すごいね、九十五パーセントの確率で死んじゃうのに」
「あー…まあ、簡単な仕掛けだ。
お前、正解の瓶ずっと見つめてんだもん」
「ええ！？」
「あー…そういうことか…」
ある部分とは、彼女の視線。
それを辿れば、正解にたどり着くのは容易だ。
「…んじゃ、主に牙向いたてめえにはお仕置きだなあ…？」
「ハッ、俺を倒せんならやってみろよ」
言ってくれんじゃねーか
自らの唇を舐め、立ち上がる。
「……遊んでやれ、琴葉」
「はいはーいっ！」
背後からの声に気付いた時にはもう遅かった。
黒い箱の中に閉じ込められる。
「…ってかAー、そういうシナリオなら事前に言ってくれないと助けられないよー？」
「あー、ごめんごめん」
黒い箱を手で弄ぶ雁夜と高野に驚きを隠せないでいる彼女。
その黒い箱は、徐々に白く染まり始めた。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年7月27日 14時
