××へのスイッチ ページ6
A side
…まあ、なんだ。
結構強い。
「んにゃあー！もー、強いよー！」
「るっせ…静かに真面目に撃破しろよ…」
銃を打とうが何をしようが弾かれる。
…んじゃ頑張って大技出すか。それで倒すか。
「…劣等感に溺れた
自分自身に溺れた
でも、それでも、私は私だと
そう思えるような世界を作り上げよう
【魔法発動】【消滅世界】」
手の上でくるくる回る白い物を握りながら、つぶやく。
「…これで、終わりだ」
そして光ったと思うと。
ドスッ
隣から音が聞こえたが、閃光で目が眩み、見えなかった。
そうして光が消え、目を開けると、化け物はそこにいなかった。
そして、隣で膝をつき、苦しそうに呻く琴葉。
「…ぇ、あ…？」
「……あーあ、だから言ったのに」
そのままうつぶせに倒れ、ヤバそうな呼吸を繰り返した。
「…っ、マジか…おい、琴葉！琴葉！？」
「こと、は…？」
「チッ、出血多…肩は…突き抜かれてる…」
すぐ横に物体が転がっている。
「…おい、お前は誰なんだ」
「……私？私は、運命に逆らう神様。
つまり、イレギュラー、な神様だよ」
黒幕は…誰だ？…いや、今はいい。
「…高野A、助けて、あげる。
でも、私の、質問に、答えて」
「いい、なんでも答えてやる！
だから…っ、はやくしろ！」
先ほどまで表情一つ変えなかった少女は口角を上げ、目は笑わないままで質問した。
「…貴方、前の世界で痛み、寒さ、暑さ…いずれもほとんど、感じ、なかった、よね？」
「は？…ああ」
少女は笑みを深め、続けて口を開く。
血は流れ続けたまま、少し離れた少女の足元まで届く。
「…怪我が、一日で治ったり。
愛を感じなかったり、した、よね？
それに、トンボシーチキンをしたりしたよね」
「……ああ…それが？」
一体なんだというんだ。
意味がわからない。
「…ほぉら、やっぱり」
いつの間にか目の前にきた少女は私の手を取りながら、こう言った。
「…君は、生まれながらの、化け物だ。
虫を殺しても、なんとも、思わない。
人を殺して、自分も、死のうとする…」
悲しい、哀しい、道化の化け物さ
少女は、私の手を離して、無邪気に笑った。
「…約束、だから、直して、あげる」
…そこからは、本当にすぐだった。
白い繭に包まれたと思ったら、中が割れて、傷一つない元の姿に戻った。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年7月27日 14時
