泥犂 ページ3
涙を拭うこともしないまま、ぼやける視界の中教室から逃げ出した。
ざわめきがまだ聞こえる。
.
.
「なっ、に…してんだ自分…！」
どこかわからない廊下の壁にもたれかかる。
泣くなんて、感情なんて、愛なんて、捨てた。
後悔しないように押し殺して捨てた。
なんで、また…。
…テストがもうじき始まる。
戻らなきゃな。
立ち上がると同時に手を引っ張られる。
「…今、行ったら、後悔、する、よ…？」
白い装束に身を包み、長い前髪で目を隠している少女。
どこから入って来たのか、なんて考えなかった。
ただ、何故か、恐怖が押し寄せた。
「…なん、」
「…なんでも、だよ…？今のこの学校は泥犂。
大御神が、御怒りに、なった…」
泥犂…？大御神…神か。
「…私と、少し、お話、しよ…？」
…ああくっそ、面倒くせえ。
少女の腹に手を回し、そのまま脇に抱える。
軽い。スナック菓子持ってる感じだ。
「え、え…？」
「…後悔してもいい、行く。
えっと…三年の教室の近くか、ここは」
じゃあ上か。
少女は、ゆるゆると抵抗してるのかわからない抵抗をした後、だらりと四肢の力を抜いた。
.
…いや、これはねえだろ…。
通る教室に赤い血溜まりがある。
だが、皆息はしっかりしている。
横目に見ながら教室へ急ぐ。
.
教室のドアを開ける。
「…はっ、はあ、サポーターの私にこれはキツイよ…」
琴葉。
そして、
「グギャァ…ァ、ッア…！」
バケモノ、
そうとしか表現できない黒い物体。
仮面で一丁前に顔だけはあるな。オカメの。
こちらに気付いたオカメが超スピードでこちらにくる。
…ほぼ一瞬じゃねえか。勘で避けなかったら不味かったぞ…。
「…あ、A…他の人は、避難させた…」
「さんきゅ、っと…サポートに回ってくれ」
「真昼君達は他の倒しに行った…」
マジか。何体いるんだよ…。
「…怖いから、寒いから
全て、人のせいにして
自由に囚われる、僕らはずっと、
誰かに、認められて、頭を撫でられたかった
【魔法発動】【傀儡人形】
…ＡとＢは私達のサポート。
CからFは他の敵排除を命ずる」
キィ！と短く鳴いた後4体が教室からフヨフヨと出て行った。
2体は巨大化し、バケモノに攻撃し始めた。
「【魔法発動】【対象ステータスアップ】！」
「【魔法発動】【戦闘切り替え】」
さて、目の前の敵に集中するか。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年7月27日 14時
