種族 ページ13
えっと…つまり…？
種族が悪魔兼女子高校生だったのが、鬼兼女子高校生になれと？
そういうことでございましょうか。
「…これから使える、のは、魔法じゃなくて、幻術…いわゆる、鬼火…。
魔法より、万能じゃないから、気をつけて…」
「あ、それでもあるのはありがたいです。
ありがとうございます、神様」
「…だから、敬語は、いい…。
次、敬語で話したら、存在消滅、する…」
何気に怖いですね神様。
最後にメガネを渡された。
小四から中二までつけていた、黒縁のメガネ。
そして、手を取られた。
「…どうせ、短い生、なのだから…。
好きなように、したら、いい…。
…じゃあ、いこっ、か…」
手を取られたまま、目の前が暗くなる感覚がした。
ただ、手の温度は、何故だか暖かかった。
.
.
.
目を開ける。
あの神様は目の前で、私の手を握っていた。
「…目が、覚めた…？」
「……うん、ありがとう」
少しだけ口角を上げると、手を離した。
温もりが消えた。
「…砂野さん…だっけ？」
「…あっ！いやっ！砂原です！」
「あー…ごめん。砂原さんか。
ありがとう、私を庇ってくれて」
挙動不審だなあ、とかぼんやり思う。
「…Aちゃ、そのメガネ…」
「…んー…中二までつけてたメガネ。
君とのことがあったから、けじめをつけるために外したんだけどね、つけろって言われた」
少し笑って、メガネのツルに触る。
「…改めて、謝らせてください、瀬龍。
あの日、お前にかける言葉を間違えたこと。
深く考えずに、簡単に答えてしまったこと。
気付くのが遅くて、後悔しか残らなかった。
本当に、ごめんなさい。
これからも、友達でいてくれますか」
頭をさげる。床につくほど。というかついた。
それほど謝らないと自分の気が済まなかった。
「え、えぇっ！？や、頭上げ…っ、」
「…本気で、すみませんでした。
いつも笑顔だったお前に、いつも甘えてた」
「や、私も！だから！頭上げて！ね！？」
無理やり頭を上げられる。
瀬龍の目には、涙が浮かんでいた。
「…私も、あの頃に戻りたかった。
だから、ね？これで…おあいこ」
そう言って私の頬を引っ張る。
数秒それをした後、手を離して、大声を上げて笑った。
私もつられて少し笑った。
今まで気付かなかったが、校舎は前のように直っていた。
その日はそれで下校となり、次の日は休校となった。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年7月27日 14時
