一瞬、 ページ7
「お前は、」
そこで一度言葉を切って、口を閉じた。
そして、もう一度口を開いて、言葉を綴った。
「…私のことを、本当の友達だって…
考え、てねえんだろ」
一瞬だけ、言葉に詰まった。
襟を持つ手の力が緩む。
「…違うよ」
「違うわけがねえだろ。
お前はいじめられてなかったんだ。
そんな奴がわざわざいじめられてる奴に近付いて、ましてや友達になろうなんて言うか？
友達が沢山いて、恵まれていたんだろ。
なのに、私に構ってわざわざ嫌われ者になる理由が見つからない。意味がわからない。
…どうせ、私が惨めだったからだろ。
今も昔も変わんねえよな、私なんて。
昔から友達がいなくて、ニジオタで、今も何も変わんねえ私は、いつも惨めだなんだと言われた。
お前は、変人じゃねえんだよ。
私だけなんだよ、変な奴は」
「違うって言ってるでしょ、このアホ」
「っ、いって！」
デコピンをされた。
普通に痛えな、このやろう。
「私は、他の人よりAの方が面白いな、楽しそうだなと思って友達になったんだ。
確かに、まあ…夢見がちでちょっと現実見れない痛い子だなあとは思ったけど。
それと、いじめられてはいたよ。
…神様に騙されたね、Aさん」
「…あ、マジで？」
「Aはアレだから。
人のこと疑うくせに変なところは信じるんだから。
だから男の人に騙されてやらされそうになるんだよ」
「そ、それは前の話だ！
もうさすがに騙されねえって！」
「どうだかねえ…。
またフラフラついていきそうだよ？」
ゔっ…確かに、前はあったけど…。
今はさすがにないもんね！
「前アレだもんね、中学生の時だよね。
アニメイトの場所わかんなくて人に聞いたら路地裏連れてかれてね、ね？」
ごめんなさい。
なんか、謝っときます。
でも、一つだけ、心配なんだ。
「…でも、本当に友達とは思ってたのか？
それだけが、心配だ」
そう聞くと、もう一度デコピンをされた。
いってえ。
「あったりまえでしょうに。
変なこと考えずにAはゲームしてればいいの。オタクっぽくしてればいいの」
…オタクっぽくってなんだよ。
…それよりさ、意味わかんないから取り敢えずスルーしてたんだけど。
お前のその羽何。
「…あれ、何これ。
吸血鬼なのに天使っぽくなってる」
「私は堕天使っぽくなってんだよ。
何でだろう」
これが外道魔法とやらを使った反動か？
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年5月13日 17時
