まーさーかーの、 ページ43
一瞬ぽかんとして、それから笑顔になった。
「いやいやいやいや！死ぬ！？俺が！？
いやいや、ありえない、ありえな…？」
ぴた、と止まって目線を彷徨わせた。
まるで、何かを思い出そうとしているような。
「…や、俺やっぱ死んだのかも…。
…そうだ、俺通り魔に刺されて死んだ！
それから…双子にこの世界で過ごせって言われて…そんで…」
「いや、大丈夫。そこらへんで大丈夫」
「そんで…なんか…化け物になったって…！」
泣きそうな表情でそう訴えかけてきた。
「…ちょっと目見せろ」
「は？いや、ちょっ…！？」
前髪長すぎんだよ。
襟を掴んで私に近付け、前髪を掻き上げる。
目が赤かった。
「…吸血鬼…」
「そ、そうなんだよ！だから…血吸わせて」
「断る」
椅子に座ると、ちぇっ、と舌をならした。
舌打ちすんなよ。
「じゃあ私は何か知ってるか？」
「え、普通に考えてヒューマンじゃ…」
「いや、悪魔。魂刈り取って喰うぞ」
「ごめんなさい！ふざけた！ごめん！」
いや、冗談だから。
そんな必死になって謝られても…ねえ…？
あいつらは確か…なんか…強制的に連れてこられた気がする…。
「で、こいつは天使だぞ。立派な羽生えてる」
「…え？こいつが？琴葉が？」
「そして吸血鬼」
「んぇっ！？」
俺と同類！？と結構大きい声で言った。
「…もう八時だし、帰ろうぜ」
「あ、お前の家に泊まっていいか！？」
「あ…？別にいいけど…」
「そっ、それはダメだ！」
「えー、城田君、いいじゃんか！
そんなA襲うわけでもあるまいし！」
「それでもダメだ！」
「だったらもう真昼も来たらよくね…？」
そしてゲームでもしようぜ。
そう提案するも、真昼がやっぱダメらしい。
「…じゃあもう真昼は私と一緒に寝るか」
だったら問題ないだろ。
「…え、お前ら高校生でもうやってんの…？」
「いや？してないけど」
もう今は中学生…いやもう小学生でさえもするかもしれねえんだよなぁ…。
嘆かわしい…。
「…城田君はAが俺に取られないか心配なんだろ？
大丈夫、大丈夫。すぐ取ってやるから！」
「いや、私は真昼好きだから断る」
「即答やめろ！傷つく！」
「お前何組だっけ？
黒歴史プリントでばらまいてやるから」
そう言うと、すぐに謝られた。
人の黒歴史集めるの趣味だからね。
脅しによく使えることこの上ない。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年5月13日 17時
