もう一回 ページ42
「もう一回聞くよ」
騒がしい店内で、静かな声なのに自然と耳に入った。
「…まだ死にたい？」
それに私はすぐに答える。
イエスの返答を。
「言ったろ、それが私のアイデンティティだ」
自分を保つために思わなければならない。
「なんで、なんで？
友達も出来た、姫名ちゃんとも仲直りできた！
なんでまだそんなこと思うの」
そういう問題じゃない。
首を振りながらそう答えた。
「…違うんだ、全然、根本から。
“あの頃”はまだ、なんでも出来ると思ってた。
でも、あの日から自分は何もかも無くなった。
手から全部零れ落ちた。
元々死にたいとは思ってた。
“あの日”から、また、強く思うようになった」
本当は違う。
「…いや、本当は違う。
逃げたいんだ。
それが償いになるなら、喜んで死ぬさ。
二人目の本当の友達だった。
それを自分から突き落とした。
…“あれ”、は…本当は、私がやったんだ」
からっぽ。
ただ、その時は本当にそうだった。
二度目の罪。
真っ黒だ。
「…私が死んで、戻ってくるなんて。
そんな都合のいいことは考えてない。
ただ、自分の満足のため…。
…いや、今も昔も変わらない。
結局私は自分のことばかりだ。
こんなんで人を救おうと思ったのか…」
“バカげてる”
“空想だ”
あの時言われたことは間違っちゃいなかった。
「…ごめん、帰る。家帰んないかも。
奈良は、明日私追いかけ回すなよ」
…明日追いかけられるな、これは。
返事が全く聞こえなかった。
「…帰ってから夕飯食べてから散歩行け」
答えようとする前に続けて声が聞こえた。
「じゃないとホラゲーやらして写真ばらまく」
あ、これは待たなきゃダメなやつだ。
わかった、と答えてまた席に着いた。
「…あのさ。砂野さんのことなんだけど…」
私は他人に興味はない、そう言ったが関係なしに続けられた。
「琴似ちゃんに似てないかなあ、なんて…」
「…冗談か？だったら笑えねえな」
違くて、と答えた。
「雰囲気と、何より癖。
髪の毛を指で巻いたり、左手で右手の甲をかいたり。
それが全く同じ。するタイミングも」
だが、それがちゃんとした証拠になるかと聞かれたら否だ。
「だからといって瀬龍なわけじゃねえだろ。
それに、死んだ奴が…あれ、お前死んだの？」
そうだ、奈良は？
私達はトリップ方法試して来たけど。
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
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X
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西 - この方角に福があるはずです
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年5月13日 17時
