恩 ページ3
NO side
高野は、ふと思いついたように言葉を刻んだ。
「…どんな世界も、君がいたから。
生きていたい、なんて、思えたんだよ。
いつか、君がくれたように。
僕も、誰かの生きる理由になれるかな。
…【確率計算】。
【君を魔法で生き返せる確率】」
高野の背後に数字と公式が並び、凄まじいスピードで解かれていく。
やがて、答えが描かれた。
“3.14%”
その答えを見た高野は笑って、こう言った。
「…ふはっ、円周率かよ。
…けど、そんだけありゃ十分か。
吸血鬼が生き返る確率が約3%もあるんだ。
…人の道踏み外せば、此奴生き返らせるぐらい出来んだろ」
自分はそれを出来るほどに恩がある、と高野は思った。
だが、そんな事をしたところで…親友が外道になって生き返ったと思った雁夜が喜ばない。
そんなこともわかっていた。
だから、人の道を踏み外さない程度に…だが、とても危険な道を歩く魔法を使おう。
そう、高野は決める。
「…そうと決めりゃ、善は急げ。
さっさとやるか」
自分の血を使って、魔法陣を描く。
その血で描かれた魔法陣は、六芒星だった。
中心に雁夜を寝かせ、呪文を刻もうとすると、背後に新たに文字が描かれた。
備考
高野は、気だるげに後ろを向き、追加されていく文字をただただ眺める。
また、副作用が出ることがある
副作用は以下の通り
記憶喪失,身体一部欠陥,狂暴化
主な副作用は上に述べた通り
___________ですが、マスター
高野は、その次に出た文字を見て、微かに目を見開いた。
副作用を全く出さずに成功する確率は、
1%以下
術者にもリバウンドの高確率であります
…それでも実行しますか?
高野はその問いかけに頷き、文字もそれに応えた。
了
命令を速やかに実行します
高野は再び魔法陣に向き直り、言の葉を刻んだ。
「…君のことを、嫌いなんて言ってしまった。
君は、次の日、ビルから飛び降りた。
君は、今も眠ったままだ。
こんなに現実が辛いのならば、もういっそ。
考えるのを、やめてしまおう。
【外道魔法】【考えるの、やめた】」
一瞬、ふわりと優しい風が吹いた。
次に、目を開けられないほどの風が吹き、次に皆が目を開けた時には高野と雁夜はいなかった。
ラッキーカラー
あずきいろ
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8
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西 - この方角に福があるはずです
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作者名:リリムゥ | 作成日時:2018年5月13日 17時