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 立ち止まった彼女の口から放たれる言葉に俺は全神経を使って耳をかたむける。

「私ね、オフィスの前の自販機よく使ったことあるの」
「え」

 それが言いたいこと…?
 なんだか拍子抜けしてしまったが、俺はこの後重大なミスをしたことに気づかされる。

「おしるこが入ってるほうのやつって当たり付きのメーカーじゃないの知ってた?」
「…へ」

 確かにそうだ。
 でも、彼女はあまり自販機で飲み物を買ってるイメージがなかったからそういうの使わないって思ってたし…
 あぁ、つまりこれは俺の下心がかなり早い段階で見透かされてたと言うことなのか。
 少し目を伏せてこちらを見つめるAさん。

「だよね?」
「あ、、えっと、その」

 頭が真っ白になった。
 しどろもどろになる俺はその場にしゃがんでしまいそうなくらい足がすくんで変な汗もかいてきた。
 俺もしかして、詰んだ…?

「そ、そうです…」
「おしるこわざわざ2本買って私を待ってたの?」
「はい…」

 大人しく白状すると彼女は口角を上げて少し笑った。蠱惑的で今まで見たことない挑発的な笑みだった。

「やっぱりラッキーだったなぁ」
「へ…」
「私ねそこまで甘いもの好きじゃないの、でも



















ノブがくれたからすごく嬉しいな」



..

.

「はーーー…」

 家に帰ってきてコートも脱がずにベッドにダイブして枕に顔を埋めた。
 ベットの上で先ほどのことを思い出す。
 


 そう言って小悪魔のように笑う彼女に唖然としているとそのまま手を引かれた。
「ノブくん、良かったらなんだけど。来週って空いてる?」
「はい…」
「見たい映画があってね、24日なんだけど…どうかな?」
「も、もちろん大丈夫です!」
「手、繋いでもいい?」
 俺はぶんぶんと頭を縦に振るので精一杯で駅までの道のりでそれ以上は何も話さなかったはずなのに記憶がほとんどない。




「っーーー!」
 叫び散らかしたい。まあ叫んで入るが枕に顔を埋めてるので近所迷惑にはならないはず。

 一時はどうなることかと思ったが事態は思ったよりいい方向に進んでいる。
 でも、ラッキーと言われ手も繋いだけど俺たちはまだ職場の同僚という関係でしかない。

 24日、うまくいけばそのままお泊まりなんてことも…

「んーーーーー!」

 ますます彼女のことが頭から離れられなくなってしまった。

『Your Love feat.KREVA』

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作者名:あまさく | 作成日時:2023年11月8日 20時

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