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5話 『夢』 ページ7

温かくて…ずっとここにいたいと思ってしまうほど

懐かしく、心地よい

しかしこの時間は目覚めてしまえば終わってしまう

目覚めてしまえば、記憶から消えてしまっている

残るのは温かな感覚だけ

これは夢であり、おそらく私の記憶




まだ4つになる手前の3歳の頃 私は周りからの邪険な視線が怖かった

どうして みんな私を見て目を背けるのか

どうして 私を嫌うのか

どうして 作り笑顔なのか

大人たちの笑顔が怖くて、毎日逃げ出していた

そういう時私はどうしていたかと言うと…

裏庭の木々を潜り その先には

ちょっとした空間があって、葉と葉の間から

日差しが差し込み、穏やかな空気が広がる

そこは私の“秘密の場所”だった

そこで毎日泣いて、泣きはらしてお昼寝した

でも、それはある日突然変わってしまった

…それでも、変わってしまってからの時間は


私にとっては大切な時間、楽しい時間となっていた


『……ぅぅ〜…っひく、っぅ』

「…なんや、また泣いとるんか」

『…!

だ、だって…みんな、怖いんだもん』

「……あんな、世の中の大人らは自分の権利

財産を守るのに必死や」

『……』

「そんなんで負けたら、俺様たちはどうなると思う?」

『…ざいばつほうかい、する』

「だったらもっとしっかりしとけ

…実力つけたら、誰も見下せんようなる 権力で潰せや」

その時の言葉は彼自身にも言っているようでもあって

私を励まそうとしているようだった

「…いい加減帰らなな、A」

『はいっ… 様!』




あれ…名前、なんだった?

あの人は誰だったんだろう

思い出せそうで思い出せない


“あぁ、あの女か

どうせ五十嵐財閥の金と権力に目が眩んどる

…まぁ、雫威財閥もうちと並んで大きいからな

あの女、落としておいて損はない”


『……っ!?

…ぁ……夢…?』

でも、、“夢が思い出せる”

はっきりした輪郭、台詞は曖昧だけれど

大まかな内容は手に取るように正確に覚えている

昔出会ったあの少年は…?誰だったのか…


そして、なぜ五十嵐会長??

『…あ゛〜!!!

なんで朝から夢であの顔を見なきゃなんないの!』

そう言って制服に着替え、身支度を一応すませる

『…ぁ、髪は……まぁいいか後で』

…コンコンコン……ガチャ…

『…ぁ、未翼?用意はできてー…る、わ?』

虎「おはようございます、A」

『…?!』

え、正夢と言うか予告かよ…



※未翼、メイドの名前

6話 まさかの…→←4話 メイドラテ



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作者名:為人 x他2人 | 作成日時:2018年12月3日 20時

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