狐さんは夜に鳴く【夜久衛輔】 (ページ10)

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8話藤堂さんは神社住みページ10

「…ここが、藤堂さんの家？」

『そうだよ。びっくりした？』

「うん、かなり。」

だって…

実家が神社って……

「かっこいい…」

『何言ってるの？さ、来てきて。本殿の裏に私の部屋あるから。』

「一人暮らしなの？」

気になったので聞いてみる。

藤堂さんは

『いや、歳が離れてるお姉ちゃんと住んでる。姉さんは私が学校行ってる間に巫女やってくれてるから。』

と言う。

いや、休日は藤堂さんが巫女やってんの？

「かっこいい…」

『うん、夜久くんどうしたの？ほんとはこの後仕事する予定だったけど、姉さんに言えば大丈夫だし。』

そう半笑いで俺の顔を覗き込んでくる藤堂さん。

なんと言うか…

"可愛いだけじゃない"って感じ。

～～～～

藤堂さんに案内される。

本殿の裏に階段と扉があり、そこを開けると藤堂さんの部屋なのだそう。

かっこいい。

『ん、入っていいよ。そこまで広くないけど、荷物置いていいから。私は姉さんに言ってくる。』

「うん、ありがとな。」

そうバタン、と扉を閉めた藤堂さん。

藤堂さんの部屋は、物が少なくて。

畳まれている敷き布団と、ちゃぶ台、棚、勉強机。

この4つしかなく、すごく整っていた。

棚には最近のマンガが置かれていて

「藤堂さんでもこういうの読むんだなぁ。」

と、1人で呟いた。

その時

『コンッ』

と。

狐の声が聞こえてきた気がした(････)。