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「起きろ綾乃」




顔に冷水をかけられ、
意識を失っていた事に気が付く。




「はあっ...はぁ...っ、げほ」




視界に入った自分の腕や太ももが
まだらに赤黒くなっていた。




「今日はこのくらいにしといてやる。
 相変わらず良い声で鳴いておったぞ」




恍惚の表情で舐め回すように
私の身体を見る。



気持ちが悪い。
虫唾が走る。



貼り付けた様な笑顔で
「ありがとう、ございます」とだけ言った。



すると、男が急に笑い出した。




「わしは今気分が良いぞ!綾乃!
 '' 蕨姫 '' はこうはいかんからなあ!」




駄賃だと言って
私に金を握らせた。



口止め料のつもりか。



男が鼻歌を歌いながら部屋を出て行くと
緊張が解けたのか
一気に身体中を痛みが襲う。




「...ううっ...うぅ...」




声にならない声を出すのがやっとで、
畳を這うように襖へと近づいた。



襖に手が届きそうになった時、




「綾乃花魁!」




勢い良く戸が開き、
禿の朝霧と小春が駆け寄って来た。




「酷い...こんな...」


「私、旦那さん呼んで来る!」




直ぐにでも飛び出して行きそうな
朝霧の腕を掴む。




「朝霧....駄目よ....」


「でも!」


「良いから!言う事を聞いて頂戴....」




大きな瞳に涙をいっぱい溜めて、
心配、不安、恐怖....いろいろな感情が
入り混じった表情で私を見つめる。




嗚呼...また私はこの子たちに
こんな顔をさせてしまった....

。→←第壱章 私は、花魁



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作者名:蒼井さくら | 作成日時:2020年12月30日 9時

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