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『帝襟Aです。今日から君たちの写真を撮らせてもらう人です。』
よろしくね、と微笑むと、目の前の彼らはちょっぴり驚いたような顔をした。まぁ確かに、突然カメラマンが来たら驚くか。私は勝手に腑に落ちた。「あの!」と、どこかから元気な声が聞こえる。声の聞こえた方へ向くと、双葉が可愛らしい男の子が手を上げていた。
「その、帝襟…ってことは、アンリさんの妹さんとかなんですか?」
『うん、惜しいね。私はアンリさんの姪にあたるの。アンリさんのお姉ちゃんが私のお母さん。』
肩に掛けたカメラがずっしりと重い。ちょっと申し訳なさそうな顔をした双葉くんは、もじもじしながら私に謝った。むしろこちらが申し訳ないくらいだ。そう言われるのはもう慣れているので、にこにこしながら手を振る。
『今一チームずつ回ってるところなんだ。だから君たちにあんまり時間は割けないんだけど…さっきのこの子みたいに、何か質問はある?』
一チームずつ回っているといっても、ここが一番最初なのだから特にいうことも無いのだが。写真を撮るついでに自己紹介は妥当だろうな。と思い、そんな定番の質問を投げかける。すると、「好きな食べ物は?」「好きなサッカー選手は?」「今何歳ですか?」などのちょこちょこ失礼な質問が入ってくる。一つ一つ丁寧に答えるのが一番だが、どれもみんなサッカーが好きなんだなぁと思えるものばかりだ。
『好きな食べ物はいちご大福。好きなサッカー選手は…うん、あんまり詳しくないんだ。今度教えてよ。年は十七。』
年齢を答えると、それぞれから驚嘆の声が零れる。そうか。彼らは十六歳から十八歳の子が多いものね。アンリさんが私を選んだのもそういう理由なのだろうか。
「俺らと同い年くらいなんですね。」
『そうだね…だから別に敬語じゃなくても大丈夫だよ。私の名前、ちゃんと覚えてる?』
「覚えてま…覚えてるよ!」
『ふふ、冗談冗談。』
この子たち、揶揄いがいがあって面白い。
此処に来たのはある意味正解だったかもな。そう思った。
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美心(プロフ) - 悪女系きたー!!!探してましたこーゆーの!!書き方最高ですよ!!応援してます!! (2023年2月13日 20時) (レス) @page9 id: ababba2e3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花畑先輩 | 作成日時:2023年1月12日 11時