ダリア ページ3
「生かせてみてよってなぁ…おいおい」
小綺麗なラッピングに包まれず、むき出しの一輪の花をパサッとテーブルの上に置く。
「これそもそも根がねぇじゃねぇかよ…何なんだあいつは冷淡なのかバカなのか…」
無情はどっちだよ、と吐き捨てるように呟く。
花なんて育てたことも貰ったこともない。
それ故にアイハブノット、ア、カビン。
「しゃーないからこれで代用するか」
1000ml『おいしいミルク』の青いパックをパチン。
500mlにして花を生ける。
「うっへー不格好」
菊に似た花びらの形をした、白いけれどうっすらと紫色が浮かぶ、割かし綺麗な花。
に、庶民チックな切断された青い牛乳パックの花瓶。
牛のイラストと『いミルク』と切れた文字が何ともマヌケである。
「なんつーんだろうなこの花」
別に興味があるわけではないが、生かしてみろと言われたのなら名称くらい知っていて当然だろう。
えーと…白い 菊っぽい 小さい 花
「お!さすがGoogleてんてー」
こんな稚拙な単語でもかきわけてくれる、ネットは便利だなぁいやぁ。
「だりあ…ダリアね」
あぁやっぱり菊の仲間なのか、似てるもんなぁ。へぇ、和名では天竺牡丹つーんだ、かっけぇなおい。んで今がちょうど開花期なのね。
表で分かりやすく区切られた文面を眺め、スイスイと下に沈んでいく。
あ、花言葉。
フォントと文字色がかわり、デカデカと項目の文字が浮かぶ。
「えーと…ダリアの花言葉は『栄華』『気まぐれ』
赤が『華麗』黄色が『優美』
ふーんアイツらしい花だな」
下にスワイプしていくと、綺麗な白いダリアの写真が出てきた。
「白が『感謝』…へぇー」
この花を通して、遠回しに手伝ってくれたことに『ありがとう』的な。『感謝』的な。
なーんてな、あいつトゲトゲしそうだから、そんなことないだろうな。
いや、もしかしてツンデレかクーデレだったりとか。
…なーんてな。
マンガみたいなことあるわけないだろ、と真っ暗にしたスマホを花の隣に置く。
と、同時にそういえば、と疑問が浮かんだ。
あれ、そういやあいつの名前聞いてなかったな。
まあ花屋なんて滅多に行かないし、あれが最初で最後かもしんないし、別にいいか。
「ダリアねーふーん…
…あなたダリアっていうのね!」
…これ動画だったら二度としないでって言われそーだな。
アホくせ、実況しよ、と俺は立ち上がり際に指で弾くようにダリアを触った。
続く お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←お詫びに、
24人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あまなつ。 | 作成日時:2018年9月3日 21時