寝不足の朝イチ ページ8
くあ、と欠伸をして｢ん。｣と解読書を手渡す。
只今AM7:30。くっそ眠い。
手渡した相手は、勿論A。
先生だから当たり前だけど、昨日下校時間後も図書室に引き篭もってたのに、けろりと涼しい顔をしている。
｢まずはおはよーございまーす、でしょ。｣
｢…はよざいまーす。｣
｢ん、おはよー。｣
一々こういう事つっこんでくる辺りも、やっぱ先生なんだな、と思う。
｢ちゃあんとやってきてるじゃーん。偉い偉い。｣
ペラペラという音と共に解読書基ノートを捲る。
この年で偉い偉い、なんて褒められてもちっとも嬉しくないんだけど。
｢まあ、細かい所は後でちゃんと見て返すから。｣
パタリとノートを閉じて、安そうな椅子ごとキイ、とこちらに向き直る。
はあ、と眉を下げて、彼女は困ったような安心したような、何だかよく分からない表情を向けた。
｢…君はさあ、こうやってやや無茶振りな課題もきちんとやって朝イチで出すほど真面目なんだから。本当にやれば出来る子なんだよ?｣
お、何だいきなり教師みたいな事言って。
いやまあ教師だけど、一応。
ていうかややじゃなくてガチの無茶振りだっただろ、俺ほとんど寝てねぇよ。
まあ当然そんな事言えるはずもないので、代わりに｢はあ。｣なんて、思ってたより気の抜けた相槌を打ってしまう。
それにAもぷっ、と呆れたように笑って。
｢だからさー英語もちっと真面目に受けてくれよーん｣
おねがーい、とらしくなく両手を合わせて懇願してくる。
…ていうか俺はこんな先生から懇願されるほど、英語はどうしようもねぇのか。
｢…まあ、今回の課題で少しだけ、英語興味持てたような気もするし、｣
｢ホントに?｣
分かりやすくパアッと顔を明るくするAに、俺は慌てて訂正をする。
｢や、でも文法とかめっきりなんすけど…表現の仕方とか、面白いかなって｣
｢わかるー!｣
にぱっと笑顔を咲かせる彼女に、何か期待をさせて申し訳ないな、と思う。
｢やっぱり君は出来る子なんだよ｣とニコニコしているAに、むず痒い気持ちが募る。
｢そう思うだけでも嬉しいよ。今日5時間目に英表あっから、ちゃーんと起きとくんだよぉ?｣
そして、いつものいたずらっ子のような顔に変わるA。
コロコロと表情が変わる様子は、とても教師に見えなくて、あどけない。
｢…精進しまーす…｣
なんて言って職員室を後にしたけど、睡眠不足+弁当後はつれぇなあ、と思いながらまた1つ、大きな欠伸をした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
