柱頭だって恋してる【時透無一郎】

九話 ページ10

「あの、Aさんは、鬼が悪くないんですか？

「？

「いや、Aさんから、他の柱の人達からする憎しみの匂いが全然なくて…




「…炭治郎くん。


「は、はい！


「鬼が嫌いなのは当たり前だよ。捕食者と非捕食者である限り、一生私達はわかり会えない。

「じゃあ、なんで…



「憎しみほど諸刃の剣な感情はない。それは一時的に壊れた心をつなぎ合わせて己を奮い立たせるが、一度蓄えた憎しみが欠落してしまえばそいつはもう生きた屍だよ。


「…じゃあ、復讐したいわけでもないのにどうして鬼殺隊に入ったんですか？


「… 逆に聞くが、炭治郎くんはその刀をなんのために振るう？


「え、、 鬼を斬り、悲しみの連鎖を断ち切るためです！





「…炭治郎くん。

もし君と親しい誰かが死んでも、決して相手への憎しみにとらわれてはいけないということだけは覚えておけ。君は守るためにその力を使え。




「え、、あ、あｎ

「よし、もう十分復活したな。木刀をもて。









そこから日が暮れるまで鍛錬をして、呼吸の精度もかなり上がったと思う。



「うん、いいな。

「ほ、ほんとうですか？


「ああ。今日の鍛錬で感覚は鋭く研磨されたと思う。


　






　よし、竈門炭治郎。」

「は、はい！









「お前の階級が乙になったら、私の継子になれ。お前には素質がある。受けるも受けぬもお前の自由だ。









そう聞いたあと、俺は気絶させられて、気がついたら蝶屋敷の縁側で寝ていた。





「もしもーし、炭治郎くん？

「…はっAさん！


「私はAさんではありませんよ。それより、今日は非番だったと聞きましたが…ボロボロですね




「あ、俺、Aさんの屋敷で稽古をつけてもらったんです！



「えっ…
　
　なるほど、それでどうでした？



「すごかったです！もうバビューンってしてて、フッと消えたと思ったらブオンと…


「すみません、全然わかりません。

「心外！





し(それにしても、Aさんが稽古をつけるなんて、なにか彼女の中で変化があったのでしょうか。)




あ(悲しみの連鎖を断ち切る、か。そういったやつは初めてだったなぁ。)









大正コソコソ噂話

蝶屋敷に返すときに炭治郎を気絶させたのは、目と鼻をふさぐのが面倒だったからだよ。

「Aさん、俺には一ミリも動いているようには見えなかった…もっと頑張らないと！

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