燃え盛る熱に手を伸ばす/黄緑 ページ8
今年も夏合宿の季節がやってきた。クラシック級ではティアラ路線を頑張っている担当ウマ娘のゾムは、夏合宿を先月から楽しみにしていた。というのも、彼はティアラ路線二冠ウマ娘。秋華賞を取れば晴れてトリプルティアラ達成のウマ娘になるのだ。勿論彼は三冠目を取る気でいるようで、いつにも増して気合が入っている。そして私は彼のトレーナーで、今現在人気の少ない穴場のスポットで彼を待っている。
「ゾム、水着着替え終わった？」
「お、おん！終わったで！ほら、どや？似合っとるやろ！」
「...うーん、そうだね。でももうちょっと筋肉つけようか？」
「え！？ま、まだ足りひんの〜...？おれスクワット苦手やねん...」
水着に着替えて上からジャージを羽織った彼にそう言えば、しゅんとうなだれてしまう。可愛いと思う反面、パワートレーニングはしっかりやってもらわないと、バ場を踏みしめて走ることができないから、これはトレーニング多めにしなくちゃかな、とも思った。早速彼にトレーニングメニューを渡し、説明を始める。
「じゃあ今日は...うーん、最初だし、砂浜ダッシュ往復で10回にしよっか。」
「ん、任せてや！いってくる、とれーなぁー！」
言うが早いが駆けていってしまった彼は、それはもう速いスピードで。それでもフォームは独学で身に着けた、まるで狼が走るようなものだから、あまり安定していなくて。ここが課題だなと思いながらも、彼の走りは本当に人を惹きつけるのだった。
その後も渡していくメニューを彼は次々とこなし、果てには日が暮れそうなところまで着々と成長していった。お疲れ様、と言って浜辺に座り、2人で足を冷たい海につけて夕空を眺める。
「トレーナー！今日のメニュー、お、おわったで！なぁなぁ明日は何するん？ぁー、でも、腹筋だけはやめてや、ろ、ロボロに延々とこないだやらされたから...あんま好きやない、」
「そういえば同室だったもんね？一緒にトレーニングしてるんだ。」
「...だ、だって、...」
一日の疲れを取るように、ぱちゃぱちゃと足を海の水に当てながら、短くピンと立った耳を揺らす彼は、そこまで言うと私の手を握り、言葉を濁らせた。どうしたの、と問えば、暗い世界の中で彼の顔がほのかに赤く染まっている気がした。夏祭りの花火の音に紛れ、か細く可愛い、自身のなさげな声が届く。
「Aのこと、大好きで、...だから絶対、俺のこと飽きないでな？」
遠くで咲いた花火の熱が、いやに近くに落ちた気がした。
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うん - 両方好きなので、とても嬉しかったです！！リクエストよろしければ、e／mさん書いてくれますか…！ (2022年10月27日 8時) (
レス) id: 23e75d003f (このIDを非表示/違反報告)
歩希/Ayumu(プロフ) - あさん» コメント、並びにリクエストありがとうございます。ぜひ書かせていただきますので、気長にお待ちください。 (2022年9月29日 2時) (レス) id: 883edcee1d (このIDを非表示/違反報告)
あ - とても面白かったです…！ リクエストが良いのか分かりませんがご迷惑でなければ ｼ/ﾝ/ｼﾞ/ﾝで書いて欲しいです…！ (2022年9月28日 23時) (レス) id: b70f974580 (このIDを非表示/違反報告)
菊(プロフ) - あああああああ…。有難うございます大好きです需要しか無い…。（拝んだ） (2022年9月26日 11時) (レス) id: 073ffef2d2 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ - ウワ好ｯき 作者さんありがとうございます！！！ (2022年9月24日 23時) (レス) id: 1869c0d867 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：歩希/Ayumu | 作成日時：2022年9月23日 22時
