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遭遇 ページ28

「あ」

「お」


やばい。変身先で迷ってる内に開始しちゃったと思ったら、焦って小瓶落として轟くんと遭遇した。
どんな凡ミスだ。消太くんに知られたら大目玉だぞ。


「……どうも」


へら、と薄ら笑いを浮かべて挨拶をしてみるも、コスチュームで半分しか見えない轟くんの表情は歪んだ。


「ナメてんのか」


そうなりますよね普通は! 私が悪かったです!

苛立ちのままにチッと舌打ちした轟くんは、こちらが体勢を整える間もなく氷を使って足止めを試みた。私の個性がわからないからか、部屋ごと凍りつかせるのではなく範囲を絞り、私の足だけを凍らせようとしてくる。


「やっぱり生で見ると迫力がありますね!」


床を蹴り、後方のテーブルへと飛び乗る。
やはり氷は速かったが、生憎と地獄のような訓練で反射神経は鍛えられている。……思い出したくないが。


「何だよそれ……!」


更に表情を歪めた轟くんは右足から氷を伝わせる。今度は苛立ちのせいか少し範囲が拡大しているようだ。


「やっぱナメてんじゃねえのか!」

「そんなことないですよ!」


避けようとテーブルを蹴る。私から見て右に逃げるが、そちらを狙っていたかのように目の前に氷。


「……っ!」


咄嗟に目を庇うように頭を下げる。
左のこめかみに衝撃があると同時に、嫌に冷たい感覚がその周辺と目まで。こめかみから頰に伝う熱い液体は恐らく血。


「な、……」


目だけを動かして轟くんを見ると、頭に当たるとは思っていなかったのか、目を見開いて動揺していた。


「どうしたんですか?」


氷が直撃した痛みと、左目を覆うほどの氷の冷たさを無視して、余裕を装って間合いを詰める。

轟くんの鳩尾に一発、肘。


「ぐっ……」


氷を使われないうちに、捕縛テープを巻きつける。


「私はヴィランなんですよ。油断しちゃダメです」

「ち……くしょう、げほ……」


咳込む轟くんをその場に残し、部屋を出る。次は、今まですっかり存在を忘れていた障子くんの番だ。
左目の氷に触れ、これはしばらく溶けそうにないな、と苦笑いを零した。




お久しぶりです。

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カナ - トガちゃんの成り代わりは私得ですね。笑更新頑張ってください。 (2019年1月29日 23時) (レス) id: 270e06f60b (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ@無理ゲーはパス。 - ツインテトガちゃん可愛い (2019年1月14日 14時) (レス) id: e44d61dba0 (このIDを非表示/違反報告)
ののいろ系女子 - 成り代わり!しかもトガちゃん!もう大好きが勢揃いで嬉しいです!更新大変だと思いますが頑張って下さい! (2018年12月29日 1時) (レス) id: 8fb3eabd58 (このIDを非表示/違反報告)
ハムぴょん - ああ面白いぃぃ!!!とがちゃん好きだから嬉しい!更新頑張ってください!!!!! (2018年12月17日 21時) (レス) id: e2495abf65 (このIDを非表示/違反報告)
愛と正義 - めちゃ面白いです!! (2018年11月26日 22時) (レス) id: 270e06f60b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天子夕夏 | 作者ホームページ:ナシ  
作成日時:2018年11月15日 5時

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