【トガヒミコ】殺したいから【成り代わり】

帰路 ページ25

テストも終え、帰り道。

着替えて、ホームルームが終わったらすぐにB組に行って、現在寧人と一緒に校舎を出たところである。


「疲れた」

「被身子が疲れたぁ？ あ、そうだ、入学式A組居なかった！ 何やってたのさ」

「体力テスト」


は？ と腑抜けた声が聞こえる。


「体力テストって、被身子が去年言ってた “個性” 使っての？」

「そう、それ。私別に “個性” 使ってないんですけどね」


はぁ、と一つため息を吐くと、後ろから「お二人さーん！」という聞き慣れた声が聞こえた。
あぁ、あの帰り道の三人組か。出久くんのコペルニクス的転回は是非ともこの目で見たいけど、今は寧人と帰ってるし、邪魔するのもなぁ。


「ねぇ被身子、呼ばれてる」

「は？」


間抜けな声と共に振り向くと、麗日ちゃんと出久くん、飯田くんの三人がこちらを見ていた。


「駅までー？ 一緒に帰ろうよ！」


ニコニコとした笑顔の麗日ちゃんが、ぱたぱたと軽快に走ってきて私の前で止まる。


「あー……私はいいですけど。寧人」

「はぁ？ A組と帰るの⁉ 駅まで⁉」

「なんか敵対視してますね？ 同じヒーロー科！ 仲間だよ、仲間」


渋る寧人に、ずいと顔を近づけ、顔を逸らそうとする寧人の両頬をぱちんと挟む。


「私、仲間との親睦は深めておくのが良いと思うんです。例え今の仲間がB組だけだったとしても、将来ヒーローは全員仲間だから」


うぐ、と声を詰まらせた寧人に、「どうなんです？」と目を見て言う。

すると寧人は両頬を挟む私の手を退け、はぁぁー……、と随分深く溜め息を吐いて、頷いた。


「もう、わかったよ！ ……被身子の言うことには逆らえないし」


寧人の返答を聞いて、にっこりと笑みを浮かべた。


「だ、そうですよ！ 一緒に帰りましょう、駅まで！」


麗日ちゃんたちに向き直って言うと、三人は頰を若干赤く染めていた。


「きょ、距離感おかしくない……？」

「……ダイタンだ」

「そうですか？ いつの間にか当たり前になってたけど……あんまり抵抗がないので、男女関係なくこの距離感ですよ」


一人ずつぎゅーしてみますか、と腕を広げ三人に迫ると、みんな(特に男子二人は勢いよく)首を横に振った。

なんとなく、この体になってから、積極的とか大胆なことも出来るようになってきた。
渡我被身子には羞恥心がないんだろうか。いや、原作では「恥ずかしい」とは言っていた。がアレは裸にならなきゃいけないとかだし。
ま、恥ずかしくはないが控えておこう。

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