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「っ、僕はただ、Aが大事なだけなんだ」
相川の顔を覆っている手の隙間から、片目だけがこちらを覗く。
耳まで赤くなった顔、少しだけ潤んだ瞳。
だけど、強く、芯のある声。
隣に座る相川を見て、その声を聞いて、全身の力が抜けてしまったように思えた。
背後にあるベッドにもたれかかり、心臓がある位置に手を当ててみる。
トクトクトク。
心臓がいつもより早く脈打つ。
ついこの間、一ノ瀬先輩と出会った時と同じ感覚が私を襲う。
『私も、相川が大事だよ。唯一のお兄ちゃんだもん』
「……うん。でも、ちょっと違うかな」
そこまで言った相川は私の首筋に顔をうずめた。
ふわふわの髪がサラサラと当たって、くすぐったい。
ここまで相川で近づいたのは、顔合わせの時以来だ。
「A、顔真っ赤」
少しだけこちらに顔を向けた相川がクスリと意地悪に笑う。
____顔真っ赤。
ドキッと強く心臓が動いた。
嘘でしょ。
頬に手を当てても熱は感じられない。
けれど、声を上げたいくらいに体がおかしい。
運動後というくらいに心臓が動く。
「もう少し、このままね」
相川の腕が私を包む。
ぎゅー。
耳元でそう囁いた相川は、暖かい。
柔らかい香りが、ずっと漂っている。
私もすぐに染まってしまうのだろうか。
ーーーーー
投稿順ミスして手がすごく震えてますなう。
……誰も気づいていないでしょうけど。
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絵鞠(プロフ) - ぬいめさん» ありがとうございます。期待の真下にあるような作品かもしれませんが、頑張ります! (2022年12月28日 18時) (レス) id: b2d7297930 (このIDを非表示/違反報告)
ぬいめ - 素敵なお話ですね!続きが凄く気になります、これからも更新頑張って下さい! (2022年12月19日 20時) (レス) id: b9e070215e (このIDを非表示/違反報告)
夢猫 - いつまでも待ってます!無理なく頑張ってください! (2022年10月20日 20時) (レス) @page39 id: f1d57ac7c3 (このIDを非表示/違反報告)
絵鞠(プロフ) - 夢猫さん» ありがとうございます。とてもゆっくりな更新ではありますが、待っていてくださいね! (2022年10月16日 13時) (レス) id: b2d7297930 (このIDを非表示/違反報告)
夢猫 - 初見です。夢主ちゃんとまふくんのとても可愛い日常生活を毎回楽しく読ませてもらってます。これからも頑張ってください❣️ (2022年10月4日 16時) (レス) @page37 id: f1d57ac7c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絵鞠 | 作成日時:2022年3月18日 16時