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「着いたよ」



 母にそう言われて、スマホから顔をあげる。

 車の窓に自分が映るくらい、外は暗かった。

 外が暗さとスマホの明るさが合わず、目が疲れた。



『わぁ……!』



 そして連れて行かれたのが、ホテル。

 今日は相川家ときちんとしたご挨拶をする日だ。

 ……と言っても、新しいお父さんと、同じクラスの相川真冬のみなのだが。



 車から降りて、中に入る。

 中に入って周りを見渡す。

 なんか……なんて言うのかな、すっごくお洒落。

 周りの人に邪魔にならないようにエントランスの隅に行き、スマホを取り出した。



《到着》

〈こっちももう着いたよ〉



『お母さん、相川たちもう着いたらし……いたっ』



 相川から得た情報を母に伝えようとしただけなのに、軽い痛みが頭を突いた。

 後ろを見ると、スマホを握っておかしそうに笑う相川がいた。



「後ろにいたのに気付かないって……馬鹿じゃねーの」



 笑いを堪えようとしたのだろうが、途中で吹き出すようにして笑われた。



『う、後ろにいたんだったら声かけなさいよ』

「いや、本当に気付いてないのかなぁって思って」



 滑稽、滑稽。

 そう言いながら相川は笑い続ける。



「真冬、あんまりAちゃんに意地悪するんじゃないよ」

「はぁい」



 そして、相川の後ろに立っていた男性に気付く。

 この人が新しいお父さん……。

 優しそうな人だなぁ。



「陽さん!」



 お母さんがその人の名前(多分)を言うと、優しく手を振った。

 うぅわ、仲良すぎでしょ。



「行きましょう、もうご用意されているそうなので」



 並んで歩く母と……そうだ、陽さんに続いて歩き出した。

 流れ的に、隣を歩くのは当然、相川。

 チラッと隣を盗み見る。



 ぴたっと細い黒色パンツ、

 皺の無い白いシャツ、

 その上に着ているジャケットっていうのかなぁ、黒色の。

 上着でいいか、別に。

 靴は……コンバース。



 隣を歩く相川がものすごく大人に見えた。

 上着に付いている黒いボタンまでもがかっこよく見えてしまう。



 視線を感じたのか、ん?、と言いながら首を傾げる。



『なんでもない』

「そっか……。ねぇ、父さんたち仲良すぎない?」

『思った』

「まったく、いい歳して……」



 相川を一瞬でも素敵だと思った事は、内緒にしておこう。

・→←兄妹の始まり。



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絵鞠(プロフ) - ぬいめさん» ありがとうございます。期待の真下にあるような作品かもしれませんが、頑張ります! (2022年12月28日 18時) (レス) id: b2d7297930 (このIDを非表示/違反報告)
ぬいめ - 素敵なお話ですね!続きが凄く気になります、これからも更新頑張って下さい! (2022年12月19日 20時) (レス) id: b9e070215e (このIDを非表示/違反報告)
夢猫 - いつまでも待ってます!無理なく頑張ってください! (2022年10月20日 20時) (レス) @page39 id: f1d57ac7c3 (このIDを非表示/違反報告)
絵鞠(プロフ) - 夢猫さん» ありがとうございます。とてもゆっくりな更新ではありますが、待っていてくださいね! (2022年10月16日 13時) (レス) id: b2d7297930 (このIDを非表示/違反報告)
夢猫 - 初見です。夢主ちゃんとまふくんのとても可愛い日常生活を毎回楽しく読ませてもらってます。これからも頑張ってください❣️ (2022年10月4日 16時) (レス) @page37 id: f1d57ac7c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:絵鞠 | 作成日時:2022年3月18日 16時

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