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「おはよう、Aちゃん」



 家のチャイムが鳴って、慌てて扉を開けた。



『おはようございます、一ノ瀬先輩。すみません早めに来ていただいてしまって』

「全然大丈夫だよ。行こっか」



 毎朝早い時間に家を出る母に代わって、施錠をし、一ノ瀬先輩の隣を歩く。



「そういや、真冬髪切ったらしいじゃん」

『あー、この前宣言してましたよね』

「あれ、Aちゃんまだ見てない?」

『はい』

「俺昨日テレビ通話かかってきたんだけど」



 とまぁ、いつも通りに学校に着いた訳ですよ。



「A……彼方さん?」

「あ、真冬じゃん」

『おはよ』



 北西側の坂道に相川を見つけた。

 一ノ瀬先輩が言った通り、相川の髪は短くなっていた。

 だから、表情がよく見える。

 なんか驚いてるなー……。



「……おはようございます」



 そして一緒に昇降口に向かった。

 行くべきところは同じだし。



「俺、今日日直だから職員室行かないと。じゃぁ、また帰りね」



 それだけ言って一ノ瀬先輩は自分の靴をしまい、急足で去っていった。



『相川、割と印象変わったね』



 私たちも上履きを履いて、教室へ向かった。

 相川、背高いなぁ。



「でしょ?」

『インキャ脱出おめでとう』

「ざけんな」

『コミュ症だから、まだインキャか』

「クラスの中心だからって調子乗るなよ」



 前髪が短くなったおかげで瞳が見える。

 意外にも綺麗な瞳をしているんだなぁ。

 髪をすいてもらったのか、ふわふわと軽そう。

 少しだけ脱色したのであろう。

 真っ黒な髪は色素が薄くなっていた。



「かっこいいでしょ」

『無駄に顔整ってんな』

「中学まではモテてたから」

『そっか』



 中学……いじめられたんだよね。

 直接言えないのに、心の中で同情した。

 どうして相川がいじめのターゲットになってしまったのだろう。

 ___私に心を開いている……。

 他の人には閉ざしているって事かなぁ。

 どうしたら相川はみんなの前で笑えるだろうか。



「A?」



 ずっと俯いていた私を相川が覗き見る。

 だから近いんだよ。

 無駄に整いやがって。



『なんでもない。サラッとモテるアピールするのやめてもらえる?』

「あまちゃんの真似」



 そして、にひひと笑った。






 相川と兄妹か。

 馬鹿やって、楽しくなりそう……かも。

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絵鞠(プロフ) - ぬいめさん» ありがとうございます。期待の真下にあるような作品かもしれませんが、頑張ります! (2022年12月28日 18時) (レス) id: b2d7297930 (このIDを非表示/違反報告)
ぬいめ - 素敵なお話ですね!続きが凄く気になります、これからも更新頑張って下さい! (2022年12月19日 20時) (レス) id: b9e070215e (このIDを非表示/違反報告)
夢猫 - いつまでも待ってます!無理なく頑張ってください! (2022年10月20日 20時) (レス) @page39 id: f1d57ac7c3 (このIDを非表示/違反報告)
絵鞠(プロフ) - 夢猫さん» ありがとうございます。とてもゆっくりな更新ではありますが、待っていてくださいね! (2022年10月16日 13時) (レス) id: b2d7297930 (このIDを非表示/違反報告)
夢猫 - 初見です。夢主ちゃんとまふくんのとても可愛い日常生活を毎回楽しく読ませてもらってます。これからも頑張ってください❣️ (2022年10月4日 16時) (レス) @page37 id: f1d57ac7c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:絵鞠 | 作成日時:2022年3月18日 16時

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