スピード。【snr】 ページ8
「悪いけど、ちょぉっと一緒走ってもらうでな、A」
そう言ったのは、学年一背が高くて、優しいと噂される私の嫌いな人間、折原千羅。
首筋に光る汗と、此奴にあう黄色のハチマキをつけ、袖の短い体操服を更にまくった姿。___あぁ、ウザいな。
陸上部ひ入っている私は、いつもアンカーに選ばれる彼に勝てない。腹立たしいのに、コイツは絡んでくる。
体育祭。競技、借り物競走。
ここで私が走れば、チームは勝てるかもしれない。
それでも、気が進まない。
「何を貸せばいいの」
一緒に走れ、という頼みには聞きたくない。どうせ、借り物競走なんか手持ちの物なのだから。
「んー……」
彼はわかりやすく物を考える姿勢になる。そして、何を思いついたのか
「Aが俺の活躍を見る時間」
なんて言った。
馬鹿?正気?
「とにかく、走るで!」
応援席から無理矢理私を引っ張り出し、千羅は駆けた。
繋がれた右手が私を強く引き、その速度はきっと、私が一人で走る時より速い。
『折原選手、一着!』
アナウンスを横目に、いつもより脈が穏やかな走った後の心臓をおさえる。
全然疲れていない。
「いやー、ナイスラン!」
そう叫び千羅は、涼しげな顔だった。
「で、お題何?」
「俺の好きな人♡」
「はぁ?」
「嘘♡」
訳がわからない。
『それでは、お題の確認をします』
アナウンス人が千羅の持つ紙を取り、開いた。
『お題は___ライバル!』
は?
私の方が遅いのに?
「お前がどう思おうと、俺はライバルと思って挑んでるから。これからもよろしくな」
「……あぁ、そう。好きなしたら」
馬鹿馬鹿しい。
早く応援席に戻ろうと歩を速めた。
「千羅おつかれー」
クラスが同じのため、応援席は千羅と同じ。
「A、ちょっと」
だから、この声を無視しにくい。
「何?」
応援席を出て、千羅の隣に立つ。
「___好きや。ライバル、クラスメイト関係なく」
ほら、次の借り物競走、Aの番。そう、背中を押された。
「貴方より遅い私は、スタートがずっと先にあるだろうから」
それまで、待ってて___。
期待外れかもしれないけどね。
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絵鞠(プロフ) - 千海さん» リクエストありがとうございます。僕も沢山書けるし、ご希望に寄り添えるし、一石二鳥!ありがとうございます! (2022年3月27日 19時) (レス) id: b2d7297930 (このIDを非表示/違反報告)
千海(プロフ) - コメント失礼します。いろんな歌い手さんのお話が詰め込まれてて、すごく好きです!リクエスト等受け付けたりされていますか?されていたら、反応集みたいなので「抱きついてみた」お願いします!されていなかったらすみません。長文失礼致しました。 (2022年3月26日 18時) (レス) @page17 id: b4c51071c3 (このIDを非表示/違反報告)
絵鞠(プロフ) - ぴったり1’000hitになった瞬間を見れました。面白いですね嬉しいです。 (2022年3月20日 20時) (レス) id: b2d7297930 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絵鞠 | 作成日時:2021年8月18日 15時