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.toru's side
「それじゃあ、お世話になりました」
「ええ、気をつけて頑張ってきて下さいね」
Aと名乗った少女を駅まで送り出す。幸い今日は喫茶店は休みだ。手を振り彼女の姿が見えなくなったところで自分も帰路へつきながら、後輩に電話をかけた。
「もしもし、僕だ」
「どうかしましたか、降谷さん」
「少し気になることがある、数年前教会か寺院で暴動を起こして拘置された男がいないか探してくれ」
ポケットに片手を入れると、確かに少女のイヤリングの片割れがあった。忘れ物ではない、彼女が再び取りにくるようわざと盗んでおいた。
彼女の元恋人は不審だ。真面目な男性が2150万円以上も持ち逃げするとか、過去に騒ぎを起こした経歴があるとかいう訳がない。事件性があったとしても最後まで自分で捜査する事はなくていいとは思うが、その男とコンタクトを取るためには少女との接触が必要だ。
「大丈夫だ、必ず少女は僕を訪れる」
「?降谷さん?」
「……すまない、気にしないでくれ」
違法作業も、少し意地の悪い罠も正義の為だ。イヤリングをいじる手を離して電話を切った。
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作者名:ism | 作成日時:2018年8月11日 19時