.28 ページ29
アースクエイク終わりそうなので宣伝です、ハンターの次に創作意欲があればバーボンものを書こうかと思っております……
[赤.井.秀.一]ハンター
.toru's side
「……ハハ、参ったな」
バーボンと言われて名前を呼ばれたのかととっさに強張ったけれど、そうではなかったようだ。これならメールで別れを告げるべきだったかもしれない。要するに安室透が仮の姿で嘘まみれであっても構わないとAさんは言うのだ。
「……原因は僕だ、Aが飽きるまで責任を取りましょう」
違法作業にカタをつけたように、こっちも綺麗に回収させればいい。僕が責任を取ろう。
AさんはAさんでダメ元だったけれどまさかOKだとは、と驚いている。確かによく考えてみるとAさんが僕を眺める目は甘い甘いものに変わっている。
「……じゃあ、何てお呼びすればいいでしょう」
「……本名も正体も開かせない身分です。なにも持っていないのでゼロとでも呼んでください」
ゼロ、ゼロと覚えるように何度か口に出されて、こっちのほうがあの時の馬鹿みたいな告白よりよほど良いと思う。恋人はこの国だし、仕事一筋のトリプルフェイスのせいで彼女を作るのすら億劫だったけれど、FBIのように彼女を作るのも良いのかもしれないと思うほどAさんに絆されかけていた。
「それじゃあ、改めて告白でもしましょうか、ゼロ」
「そこは僕に格好つけさせて下さい」
この間と同じ口説き文句を良い、頷くAを見る。真っ直ぐ見つめる彼女のほうへ近づき、キスをした。
「……そういえば、わたし、腕時計返してないですね」
確かに、僕はまだ腕時計をしていない。Aに今は何時ですかと尋ねると閉店ギリギリになっていてマスターに軽く謝りながら店を出る支度をした。
31人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ism | 作成日時:2018年8月11日 19時