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.toru's side
少女の恋人がとある宗教の2世信者であったこと、その宗教はこの頃若い信者の犯罪未遂が目立つことを知った。何より恐ろしいのが来年のはじめはその本部にとって大事な節目であることだった。水面下で何が起きているか分からない、僕は急いで少女を呼び出した。
皮肉な意味をあらわすカクテルが2つカウンターに置かれ、灯りに照らされて煌めいている。軽く乾杯を交わした後、ひと呼吸おいて僕は話を切り出した。
「……今日は、大事な話をしたくて」
酔わせて既成事実を作るほど愚かじゃない。自分より6つか7つかも若い少女に罠を仕掛けるなど造作でもないのだ。
なんですか、と首を傾げる少女の瞳を見つめる。この少女を騙す覚悟を決めたつもりで唾液を飲み込んだ。
「僕と、付き合って下さい」
正義の2文字が頭でいっぱいになり、軽く頭痛がする。何人目かはもう忘れたし、心は微塵も痛まない。
頭痛でぶれる目の前にはぼんやりと、頬を染めて頷くAさんの姿があった。罠に嵌ってくれたことを嬉しく思い、素直に感謝の気持ちを述べた。
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作者名:ism | 作成日時:2018年8月11日 19時