あれ？誤魔化せる？

停止 ページ31

俺が逃げ込んだのは住宅街の方、路地裏に体を隠し座り込んだ。

「はぁ、ぁ……ふぅ」

一旦息を整える。
自転車がギリギリ通れる道だし車は絶対入っては来れない。来ても反対側に逃げればいいのだ。

「はぁ…………はぁ……」

まだ息は上がっているが落ち着いては来てる。
落ち着きながら携帯を確認、2時17分の時刻が表示された。
夏はこれからが本番で夕陽が沈み辺りが暗くなるまで後5時間と少し、それまではここらで男から逃げるしかない。

問題は自転車をどうするか。

男には自転車の形状、色は把握され下手にアパートに置いて見つかりでもすれば

「(当然、あの世行きか)」

菊枝さんも巻き込まれる恐れもある。
折角買ってもらった新品だけど、ここらでお別れした方が身のため。いつも掛けてるブルーシートも役には立たない。

勿体ないが、命には代えられない。それに無傷なら持ち帰ればいいし。

精々、街の方に行ってくれと念を込めてその場に留まり始めた。

ーー

場所は移り警視庁

女刑事、佐藤 美和子(ｻﾄｳ ﾐﾜｺ)は今勤めてる事件を捜査して机の上で資料を纏めていた。

「……ちょっと！ さっきから鳴ってるわよ？誰か取ってくれない？って誰もいないし」

先程までいた男どもはどこ行ったのよ、と愚痴を漏らしつつ受話器を取る。

「はい、こちら警視庁捜査一課です。はい、はい、わかりました。すぐに手配します！」

男がナイフを振り回し少年を追いかけ車で追っているとの電話が入り佐藤は現場に向かおうとして高木刑事とすれ違う。

「あれ？佐藤さん？どうしたんですか？」

「高木くん、悪いけど今日は別の事件に当たって忙しいって伝えて！」

「さ、佐藤さん！？ でも……」

「目の前で起こってる事件も担当している事件も変わりないのよ。頼んだわよ！」

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