あれ？誤魔化せる？

質疑を解く ページ20

「さてと」

食事を終え片付けた所で、テーブル越しに沢口さんと相対した。訊くことがあるために。

「……」

沢口さんも予想はしていたのか、さっきとうって変わって静かに淹れたコーヒーを飲む。

口の中にある液体がゴクリと喉を通したのを見越して俺は質問を開始した。

「で、どうなんですか？」

なにが？ とは愚問で、沢口さんは少量となったコーヒーを見ながら

「私が？ それとも……」

と返してきてた。
予想通りの返しに笑い

「どちらも、いや、どれも……ですね」

と反す。

「……」

「別にこれは個人的な質問なんです。沢口の好きな様に答えていいです。気になってましたから質問しただけで、無理にとは」

いいませんよ、と締め括るも言いにくそうな顔を見るに状況は芳しくないんだろう、最終的な責任は社長となるにせよ。


社長の常盤 美緒、目の前にいる秘書の沢口 ちなみ、名前も知らぬ副社長、その他の上の方々。


あの事件、ツインタワービル破壊の責任は誰かが請け負わなければならない。

会社は爆破に何の関与もしていないのに、様々なパッシング、嘘情報、責任転嫁、諸々を背負わなければいけない。当然だが多額な負債額も……。

軽く兆はいってるだろう。

「……想像通りよ。あまり芳しくないの、特に社長は、ね」

トキワの重役が働き失態を可能な限り抑え、残りの社員や会社事態を救おうと動いてるはず。
社長、つまり常盤さんは責任を取る、取らされるとの形で座を下ろされる可能性が非常に高い。

責任はほぼ黒の組織なのに実際に取らされるのは無罪に近いトキワグループ。

赤字も続くし、そもそもが会社存続が出来る見込みがあるのかどうか。無いだろうな。

作ったばかりの双子ビルが倒壊し、社長は恐らく辞任し、残される者は途方に暮れる。

「常盤さん、は？」

「……」

無言で首を振って、それは肯定を示している。

「そうですか」

「……仕方ないのよ」

それは、自分に言い聞かせてるのか、ただただ呟いたのか俺には判断は出来ない。

描かれてない後は醜いものだった。
これが大人の世界なのだろう。厳しい世界だ。

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