あれ？誤魔化せる？

嵐は過ぎて ページ18

「これ、うがい薬と胃薬です。使ってください」

「ありがと。でも楽になったし……」

「それなら一回は飲んで寝てください。一時間だけでもいいんで」

具合の悪い彼女に薬を与えベッドに寝かせる。

「すいません、休みを奪ってしまって……」

「いいのよ。私が勝手に食べてこうなったんだもの、悪いのは私よ」

「……」

元を正せば菊枝さんがバーテンに対してこんなもの頼むからなんだけど、それを持ち帰って戸棚に置きっぱなしにしたのは他ならぬ俺。

責任の一端があって当然で、折角の休日を潰してしまったのは罪悪感が酷い。

これが菊枝さんなら『まじザマァ！』と心で叫んでたのに、と少し黒いことを考えていたら沢口さんが笑って

「ねぇ、菜三木くん、ご飯…作ってくれない？」

急なお願いを頼んでくる。

「絶賛、腹壊し中じゃないですか。悪化して一日中ベッドインですよ？」

「お腹が空いちゃって……」

「ほんの数分前に腹抑えてたのに？」

薬を飲んだのは今さっき。すぐに治るものかと追言してもよかったが辛そうな表情はしておらず、大丈夫そうな顔をしている。

あの劇物(ダークマター)は一時的な腹痛を起こすのかもしれない。

「少しでも体調が悪くなったらベッドに逆戻りですから」

その言葉が了承の意だと分かったのか沢口さんは笑顔で頷いてくる。

それを苦笑いで見送り台所へと向かい貰った食材で料理を始めた。

腹の調子を考えれば消化のいいものだろう。
とんだ昼食になってしまった。

強弱の胃袋→←絶対危険物体(ダークマター)

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