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「供物って、人間やったんか…」
何かしらの穀物や果物だと思っていた俺たちは衝撃の結果に思わず面食らう。
確かに、そのお話から魔女がみんなを食べちゃうかもよー！なんて脅かされてはいたものの、まさかそれが本当だったなんて。
「でもなんで、彩花ちゃんはその話を知ってるん？」
珍しく頭の冴えてる兄さんが質問を投げかけた。
ぴょん、とジャングルジムから飛び降りて彼女は言う。
「昔、お母さんが一度だけ話してくれたんだ。これが本当のお話って」
その答えには似たような問いが生まれるのだろう。
なぜ先輩のお母さんはその話を知っていたんですか、と。
しかし、彼女もそれはわかっているようだった。
「きっと私は、そのどちらかの一族の血を引いてるんじゃないかなって思うの」
俺の脳裏を掠めた、不吉な予感。
いや、話を聞いていたのだから、それは確信だったはずだけれど。
「どっちなん？」
臆せず聞いたのはゾムさん。
新瀬先輩との出来事を、一方的に解決されたと思っているゾムさんは、未だ少しだけ攻撃的だ。
彼女はチラリと俺を一瞥して、視線を全体に戻した。
「生贄の方の一族だと思ってるよ」
そうであっては、欲しくなかった。
ヒュ、と詰まった息を、なるべく悟られないように吐き出す。
「祖父母も、そして父も、不審死をしてるんだ、事故って形で片付けられてるけどね」
じゃあ、じゃあ、先輩は。
「お前も喰われるんか」
再度、息が詰まった。
苦しそうな彼女の顔が、どうにも辛くて。
彼女の口が動く。
「そのはずだったんだと思う」
返答は、少し意外なものだった。
俺は、未だうまく状況整理ができていなかったが、どうやらロボロさんは何かに感づいたらしい。
「シャオロンと、関係があるんやな」
彼女は小さく頷く。
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作者名：almond | 作成日時：2021年6月29日 21時
